日本からの輸出に関する制度茶の輸入規制、輸入手続き
インドの食品関連の規制
1. 食品規格
調査時点:2024年8月
茶は、「食品安全基準(食品基準および食品添加物)規則 2011」において規格が定められています。茶の定義としてカメリアシネンシス(学名)の植物の葉、芽、柔らかい茎のみを原料とし、許容される工程を経て得られるカングラ茶(インドのヒマーチャルプラデシュ州で栽培される茶)以外の茶であることと規定されています。
品質要件として、特徴的な風味を有しており、外来物、着色料、有害物質が含まれていないことに加え、次のとおり規定されています。
- 全灰分 (m/m) 4.0% 以上 8.0% 以下
- 水溶性灰分 灰分の 45.0% 以上
- 水溶性灰分のアルカリ度は KOH (m/m) パーセントで表して 1.0% 以上 3.0% 以下
- 酸不溶性灰分 (m/m) 1.0% 以下
- 水抽出物 (m/m) 32.0% 以上
- 粗繊維 (m/m) 16.5% 以下
2. 残留農薬および動物用医薬品
調査時点:2024年8月
茶は、残留農薬規制の対象となります。インドでは使用される農薬についてポジティブリスト制を採用しており、「食品安全基準(汚染物質、毒物および残留物)規則2011」により基準値が設定されています。 規定がある残留農薬は、次のとおりです。
- ジコホル:5.0 ppm(乾燥茶)
- エチオン:5.0 ppm(乾燥茶)
- キナルホス:0.01 ppm
- グリホサート:1.0 ppm
- フェナザキン:3.0 ppm
- グリホシネートアンモニウム:0.01 ppm
- プロパルギット:10.0 ppm
動物用医薬品規制は対象外です。
3. 重金属および汚染物質
調査時点:2024年8月
茶は、重金属規制の対象となります。「食品安全基準(汚染物質、毒物および残留物)規則2011」により基準値が設定されています。規定がある重金属は、次のとおりです。
- 鉛:10.0 ppm (乾燥状態の場合)
- 銅:150 ppm
- ヒ素:1.1 ppm
- スズ:250 ppm
- 亜鉛:50 ppm
- カドミウム:1.5 ppm
- 水銀:1.0 ppm
- メチル水銀:0.25 ppm
- アフラトキシン:30 ㎍/kg
- アガリン酸:100 ppm
- 青酸:5 ppm
- ヒペリシン:1ppm
- サフロール:10 ppm
※単位脚注 1ppm=mg/kg=1000㎍/kg
4. 食品添加物
調査時点:2024年8月
茶は食品添加物規制の対象となります。インドでは、使用される食品添加物についてポジティブリスト制を採用しており、「食品安全基準(食品基準および食品添加物)規則2011」において、それぞれの食品添加物の使用範囲・用途および限度が決められ、うち一部についてはそれらの規格も決められています。使用した食品添加物、人工着色料、人工甘味料は「食品安全基準(ラベルおよび表示)規則2020」に従い、製品表示義務を果たさなければなりません。
5. 食品包装(食品容器の品質または基準)
調査時点:2024年8月
茶の容器・包装に関しては、「食品安全基準(包装)規則2018」に準拠しなければなりません。
次の容器の使用は禁止されています。
- さびが出た容器
- 欠けやさびがあるエナメル容器
- 適切にスズメッキされていない銅または真ちゅう製の容器
- 亀裂や欠損、継ぎ目が目視できるガラス容器
- キャリーバッグ(いわゆる買い物袋、ビニール袋)を含む再生プラスチックを使用した製品
現在、再生プラスチックを利用した製品は暫定的に一部の使用が認められています。該当製品を食品用の容器包装に使用する場合は、インド食品安全基準局「食品安全基準(包装)規則2022改正規則案の運用に関する指示書」に従う必要があります。
プラスチック素材で作られた容器・包装に関して、次のとおりインド標準仕様に従う必要があります。
- IS:10146(食品と接触する容器・包装:ポリエチレン仕様)
- IS:10142(食品と接触する容器・包装:ポリスチレン仕様)
- IS:10151(食品と接触する容器・包装:ポリ塩化ビニル(PVC)とその共重合体仕様)
- IS:10910(食品と接触する容器・包装:ポリプロピレンとその共重合体仕様)
- IS:11434(食品と接触する容器・包装:アイオノマー樹脂仕様)
- IS:11704(食品と接触する容器・包装:エチレンアクリル酸(EAA)共重合体仕様)
- IS:12252(食品と接触する容器・包装:ポリアルキレンテレフタラート(PET:ポリエチレンテレフタレートおよびPBT:ポリブチレンテレフタレート)仕様)
- IS:12247(食品と接触する容器・包装:ナイロン6仕様)
- IS:13601(食品と接触する容器・包装:エチレン酢酸ビニル共重合樹脂(EVA))
- IS:13576(食品と接触する容器・包装:エチレンメタアクリル酸共重合体(EMAA))
- IS:14971(食品と接触する容器・包装:ポリカーボネート樹脂仕様)
関連リンク
- 関係省庁
-
インド食品安全基準局(英語)
- 根拠法等
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インド食品安全基準局「食品安全基準(包装)規則2018」〔Food Safety and Standards (Packaging) Regulation, 2018〕(ヒンディー語/英語)
(507KB)
- その他参考情報
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インド食品安全基準局「食品安全基準(包装)規則2022改正規則案の運用に関する指示書」〔Direction under Section 16 (5) of Food Safety and Standards Act, 2006 dated 18th January 2022 regarding operationalization of Draft Food Safety and Standards (Packaging) Amendment Regulations, 2022 regarding use of recycled plastics 〕(英語)
(2.6MB)
6. ラベル表示
調査時点:2024年8月
日本から輸入する茶のラベル表示は、「食品安全基準(ラベルおよび表示)規則2020)」、「商品包装法2011」により規定されています。次の項目を英語またはデーヴァナーガリー文字を用いたヒンズー語で表示することが求められます。同規則において、包装済食品のラベルは「容器から分離不可能な状態で貼付しなければならない(仮訳)」(「食品安全基準(ラベルおよび表示)規則2020」2.4.General Requirements第6項)と規定されています。
- 商品名
- 原材料表
質量または容量の大きい順に表記 - 栄養成分表示
摂取量100 mgまたは100 mlあるいは1食当たりの熱量(kcal)、たんぱく質、炭水化物(糖分の含有量を明記)、脂肪、ナトリウムの含有量をgまたはmlで記載。 ※ただし、茶、カフェイン抜きの茶、インスタントの茶のように、香料以外の添加がされていない茶は栄養成分表示の義務が免除されています。 - ベジタリアン・マーク、非ベジタリアン・マークの表示
ベジタリアン・マークは緑色、非ベジタリアン・マークは茶色で表記
パッケージ背景と反対色の背景を使用し、製品名またはブランド名の近くに表記する 規定表記サイズは次のとおりです。ベジタリアン・マーク、非ベジタリアン・マークの規定表記サイズ 表示スペース(c平方メートル) ベジタリアン・マークの円の直径の最小サイズ(mm) 非ベジタリアン・マークの三角形の各辺の最小サイズ(mm) 両マークの各辺の最小サイズ(mm) マーク 100未満 3 2.5 6 100以上~500未満 4 3.5 8 500以上~2500未満 6 5 12 2500以上 8 7 16 - 食品添加物の明細表示
- 製造業者・輸入業者の会社名と住所
- FSSAI(FOOD SAFETY AND STANDARDS AUTHORITY OF INDIA:インド食品安全基準局)のロゴとライセンス番号
- 内容量
- 小売販売価格
- カスタマーサービスの詳細
- 製造ロット、コード、バッチ番号
- 製造または包装年月日(日/月/年の形式で記載)
- 賞味期限、消費期限
賞味期限が3カ月以上の場合は年月、3カ月未満の場合は年月日を表示。
3カ月までの短い保存可能期間の製品には、日/月/年の形式を使用した日、月、年。保存可能期間が3カ月を超える製品の月と年は、月を大文字で示し、略語(月の最初の3文字以上)を使用する場合を除き、コード化されていない数字の列で記載する。
また、輸入時に消費期限(または賞味期限)までの日数が、製造日から消費期限(もしくは賞味期限)までの日数の60%以上残っていなければなりません。 - 原産国
- 使用上の指示
- 食品アレルギーに関する記載
7. その他
調査時点:2024年8月
インドで販売するすべての食品は「食品安全基準(食品事業のライセンス供与および登録)規則2011」の食品安全・衛生規制に準拠しなければなりません。