日本からの輸出に関する制度

牛肉の輸入規制、輸入手続き

品目の定義

本ページで定義する牛肉のHSコード

0201 :牛の肉(生鮮のものおよび冷蔵したものに限る。)
0202 :牛の肉(冷凍したものに限る。)

インドネシアの輸入規制

1. 輸入禁止(停止)、制限品目(放射性物質規制等)

調査時点:2025年8月

牛肉の輸入は、インドネシア農業省畜産・家畜衛生総局から牛肉輸出国として認められた国の、牛肉輸出事業所として認定された施設からのみ可能です。牛肉輸出国/牛肉輸出事業所としての認定については、次項「2.施設登録、輸出事業者登録、輸出に必要な書類等(輸出者側で必要な手続き)」を参照してください。

東京電力福島第一原子力発電所事故発生時から、インドネシアより日本産農産物について課されていた放射性物質の検査報告書の提出義務は、2022年7月26日付けで解除され、インドネシアにおける放射性物質輸入規制は撤廃されています。詳しくは、関連リンクの、農林水産省「アジアにおける規制措置の変遷」を参照してください。
なお、前述のとおり日本の牛肉は対象とはなっておりませんが、農業大臣規則2022年第12号により、核や放射能の危険ステータスにある国や地域からの牛肉を含む食肉・肉製品の輸入には、原産国の当局などが食品の放射能汚染が定められた基準値内である旨表明した食品放射能証明書を添付することとされています。牛肉を含む食肉・肉製品の基準値は、セシウム137(Cs-137)が1キログラム当たり500ベクレル(500Bq/kg)です。
この証明書を添付した輸入は検疫と食品安全検査に進みますが、証明書の添付がない輸入は放射能汚染試験へ回されます。この試験で陽性となった場合、輸入が拒否された原産国からの次回以降の輸入時に、自動的に放射能汚染試験へ回されることになっています。

2. 施設登録、輸出事業者登録、輸出に必要な書類等(輸出者側で必要な手続き)

調査時点:2025年8月

インドネシアへ牛肉を輸出しようとする原産国の牛肉輸出事業所は、農業大臣規則2019年第42号により、国際獣疫事務局(WOAH)の公式報告に基づき原産国が牛海綿脳症(BSE)や口蹄疫のような牛が感染する疾病が発症しておらず、インドネシア農業省畜産・家畜衛生総局から牛肉輸出国として認定されている必要があります。日本は現在、牛肉搬輸出国としてインドネシア政府に認められています。

加えて、輸出国の事業所も、インドネシア農業省畜産・家畜衛生総局から牛肉輸出事業所としての認定を受けます。牛肉輸出事業所として認定を受けるには、次の条件を満たしていなければなりません。

  • 輸出国の獣疫当局に牛肉の搬出事業所として登録・監督されている
  • 疾病発症国から家畜動物を搬入したり、それらを加工したりしていない
  • 国際標準の食品安全保証システムを導入し、その認証を有する

このほか、インドネシアのハラール製品保証実施機関(BPJPH)によって、あるいはBPJPHに認められた日本国内のハラール認証機関によりハラール保証システムの実施が認証されている必要があり、食品安全とハラール保証システムの両面について、インドネシア政府による現地調査が実施されます。ハラール保証システムには、と畜をハラール方式で行うことも含まれます。
調査時点で日本では、対インドネシア輸出牛肉を取り扱う施設として、全国開拓農業協同組合連合会人吉食肉センター(と畜場)とゼンカイミート株式会社(食肉処理場)、株式会社にし阿波ビーフ(と畜場/食肉処理場)、三田食肉センター(と畜場/食肉処理場)が認定されています。

さらに、輸出する牛肉は衛生証明書を取得し、当該の牛肉に添付して輸入国へ送ります。日本では、食肉衛生証明書は、牛肉輸出者が輸出する牛肉を処理する牛肉輸出事業所を管轄する食肉衛生検査所または保健所に申請し、認定された牛肉輸出事業所で適切に処理されており、ハラール証明が添付された牛肉に対して発行されます。

農林水産省が、インドネシア政府との協議のうえ対インドネシア輸出牛肉の取扱要綱を定めています。対インドネシア輸出牛肉を取り扱う食肉施設とともに、農林水産省のウェブサイトにある「アジア|証明書や施設認定の申請」で確認することができます。

前記のハラール認証と衛生証明書のほか、農業大臣規則2021年第15号によると、インドネシアにおける牛肉の家畜製品登録の申請に際し、原産地証明書と分析証明書を提出します。このため、これらの準備も輸出者側に求められます。

3. 動植物検疫の有無

調査時点:2025年8月

農業大臣規則2019年第42号により、インドネシア農業省は牛肉の輸入に際し、原産国において船積み前に動物検疫を行うことを条件としています。日本から牛肉を輸出する場合、日本の動物検疫所が輸出検疫を行い、伝染性の疾病に汚染されていないこと、ならびにインドネシアの動物検疫条件に適合していることを確認します。これにより疾病拡散のおそれがなく、条件に適合していると認められた牛肉について、動物検疫証明書が交付されます。なお、動物検疫所の輸出検疫を受けるに際には、牛肉輸出者が輸出する牛肉を処理する事業所を管轄する食肉衛生検査所または保健所が発行した食肉衛生証明書が必要となります。詳しい検疫手順などについては、動物検疫所のウェブサイトの「輸出畜産物の検査手続き」および「偶蹄類の畜産物の輸出」を参照してください。

さらに、牛肉の輸出者には、インドネシア検疫庁のポータルサイトPRIOR NOTICEを通じて事前通知(Prior Notice)を提出することも求められています。インドネシア検疫庁規則2024年第9号によれば、事前通知には、輸出入両者のデータ(会社名と担当者氏名、国名(輸出者のみ)、住所、電話番号、メールアドレス)、輸出する牛肉のHSコードと数量、動物検疫証明書および分析証明書の番号、ならびにその検査機関名、輸出の目的、輸送手段と便名、船積港と船積日、目的港と到着予定日、コンテナ番号などの事項を記載しなければなりません。

インドネシアの食品関連の規制

1. 食品規格

調査時点:2025年8月

インドネシア国家規格(SNI)には、牛肉に関する規格が複数あります。特に、SNI No.3932:2008「牛肉枝肉および肉の品質」(有料、関連リンクより購入可能)は関連が高く、参考になります。ただし、いずれのSNIについても、強制適用を規定する法令は調査時点では確認されていません。

2. 残留農薬および動物性薬品

調査時点:2025年8月

原則、食品の国際規格であるCODEX規格(コーデックス委員会)が採用されていますが、残留農薬の監督を行うインドネシアの保健省と農業省は、1996年に保健・農業大臣合同決定
No.881/Menkes/SKB/VIII/1996,No.711/Kpts/TP.270/8/96で、218種類の農薬について独自の残留/汚染上限を設けています。これらの基準を超える食品の輸入および国内販売は禁止されており、これらに規定されていない農薬の残留は認められません。
(※関連リンクの同法令は調査時点では有効でしたが、農業省のサイトの法令ページのリニューアル後、アクセスができない状態となっています。)

動物用医薬品の規制については、関連リンクの、農林水産省「諸外国における残留動物用医薬品の基準値等に関する情報」を参照してください。

3. 重金属および汚染物質

調査時点:2025年8月

牛肉は、細菌、化学物質、重金属の規制の対象となります。

細菌の許容混入値は、インドネシア国家規格(SNI)No.3932:2008「牛肉枝肉および肉の品質」において、生菌数は1グラム当たり1×10の6乗コロニー形成単位(CFU/g)、大腸菌群は1×10の2乗CFU/g、黄色ブドウ球菌も1×10の2乗CFU/g、サルモネラ属菌はネガティブ、大腸菌は1×10の1乗CFU/gとされています。細菌汚染の試験方法は、SNI No.2897:2008「肉、卵、牛乳、ならびにこれらの加工品における細菌汚染の試験方法」を参照してください。
なお、国家規格の資料は有料となっており、関連リンクより購入が可能です。

化学物質の残留濃度上限値と重金属の最大残留基準値は、SNI No.01-6366-2000「動物性食品原料における細菌汚染上限と残留上限」で定められています。

ただし、いずれのSNIについても、調査時点では任意適用であり、強制適用はされていません。

4. 食品添加物

調査時点:2025年8月

保健大臣規則2012年第33号では、牛肉への使用が禁止される食品添加物として次の19の物質を挙げています。

  • ホウ酸
  • サリチル酸とその塩
  • ジエチルピロカーボネート
  • ズルチン
  • ホルムアルデヒド
  • 臭素酸カリウム
  • 塩素酸カリウム
  • クロラムフェニコール
  • 臭素化食用油
  • ニトロフラゾン
  • ズルカマラ
  • コカイン
  • ニトロベンゼン
  • アントラニル酸シンナミル
  • ジヒドロサフロール
  • トンカ豆
  • ショウブの根茎からとれる精油(Calamus oil)
  • ヨモギギクの精油(Tansy oil)
  • サッサフラスの精油(Sasafras oil)

また、使用が認められる食品添加物は保健大臣規則2012年第33号に、使用規制量は国家医薬品食品監督庁(BPOM)規則2019年第11号に、それぞれ定められています。
さらに、BPOM規則2023年第22号には、食品添加物として使用が禁止される45の物質が挙げられています。詳細は関連リンク「BPOM規則2023年第22号」を参照してください。

5. 食品包装(食品容器の品質または基準)

調査時点:2025年8月

農業大臣規則2019年第42号において、インドネシア農業省は輸入される牛肉類の包装について、輸出国で包装されたものをそのまま流通させる場合は、食品包装として安全な原料からできた包装材で、毒素に汚染されていないものを用いる必要があると規定しています。
食品用の容器包装(食品接触材)について、国家医薬品食品監督庁(BPOM)規則2019年第20号に、食品包装として使用が禁止されている食品接触物質と、使用が許可されている食品接触物質のリストが掲載されています。これらのうち食品包装に使用が許可されている食品接触物質は、食品への移行量が制限されているものと、特に規制のないものとに分かれます。
食品包装に使用が認められる食品接触物質としては、プラスチック(モノ/マルチレイヤー)、ゴム/エラストマー、紙とカートン、レジン/ポリマーレイヤー、陶器、ガラス、金属があるとし、食品への移行量の規制つきでリストが定められています。また、ふた/ガスケット/封印も食品接触材の対象となります。リストにない要素や原料は、その安全性が検査された後、BPOM長官の承認を得た後に使用が可能となります。

なお、工業大臣規則No.24/M-IND/PER/2/2010によって、インドネシア国内で販売される食品の包装には、食品に適した安全な容器を使用していることを示すロゴの表示が義務付けられています。またプラスチック容器については、リサイクルのコードと使用しているプラスチックの種類を表記することが定められています。

日本・インドネシア政府間協議の結果としてまとめられた対インドネシア輸出牛肉の取扱要綱は、輸出牛肉を直接個装する容器包装や、これらをまとめる容器包装に所定の検査済証の貼付などを定めています。また、輸出牛肉の梱包については、開梱時に破られるような(開封されたことがわかる)方法で同検査済証を貼付するよう求めています。

なお、農業大臣規則2021年第15号は、牛肉の包装に、PHLxxxxxxxxxxxxxxxの形式で表示される家畜製品登録番号を記載するよう定めています。記載は読みやすく、容易にはがれたり、にじんだり、壊れたりしない素材を使用することも義務付けています。

6. ラベル表示

調査時点:2025年8月

農業大臣規則2019年第42号により、牛肉の包装には少なくとも次の項目を記載したラベル表示をしなくてはなりません。

  • 輸出先の国名“Indonesia”
  • と畜場の名称、所在地、および認定番号(Establishment Number)
  • と畜日、解体日、ならびに消費期限(best before)
  • 牛肉の部位、数量/重量、種類、特徴
  • ハラール認証

ラベル表示は、インドネシア語(英語併記)、アラビア数字、アルファベット表記での表示が義務付けられています。

また、農業大臣規則2021年第15号は、牛肉のラベルにPHLxxxxxxxxxxxxxxxのように表示される家畜製品登録番号を記載するよう定めています。記載は読みやすく、容易にはがれたり、にじんだり、壊れたりしない素材を使用することも義務付けています。

7. その他

調査時点:2025年8月

食品安全・衛生規制
政令2019年第86号において、食品の衛生、食品添加物、遺伝子組換え食品、食品の放射線照射、食品の包装基準、食品の安全品質保証、汚染食品に分けて規定されています。

インドネシアの輸入関税等

1. 関税

調査時点:2025年8月

牛肉の輸入関税率は5%、CIFから計算して輸入申告前に納付します。日本・インドネシア経済連携協定(JIEPA、財務大臣規則No.50/PMK.010/2022)や日本・ASEAN包括的経済連携協定(AJCEP、財務大臣規則No.48/PMK.010/2022)においても、牛肉の輸入関税率は5%です。
一方、地域的な包括的経済連携(RCEP、(財務大臣規則No.225/PMK.010/2022)における日本からの輸入では、HSコード0202.10.00(枝肉および半丸枝肉)および同0202.20.00(その他の骨付き肉)の関税率が、2025年は3.3%、26年は3%に定められているほかは、牛肉の輸入関税率は0%に設定されています。適用を受けるには、日本商工会議所発行の特定原産地証明書が必要になります。

2. その他の税

調査時点:2025年8月

  1. 前払い所得税
    財務大臣規則2025年第51号により、牛肉の輸入では、輸入前払い所得税(PPh-22)が輸入申告前に徴収されます。税率は、輸入業者事業者番号(API)を有している企業でCIFの2.5%と定められています。PPh-22は、法人税の年次申告時に法人税と相殺します。
  2. 付加価値税
    政令2022年第49号により、牛肉の輸入や引き渡しは、付加価値税(VAT)税が免除されています。

3. その他

調査時点:2025年8月

なし

その他

調査時点:2025年8月

  1. 遺伝子組換え食品
    国家医薬品食品監督庁(BPOM)規則2024年第19号により、遺伝子組換え食品は国内流通に際してBPOMからの安全性認証が義務付けられています。認証を取得するには、遺伝子組換え食品安全委員会(KKH-PRG)の分析を受けて推薦状を取得する必要があります。遺伝子組換え食品安全認証に基づいて安全であることが表明された遺伝子組換え食品で、遺伝子組換えDNAの含有率が5%以上の食品については、食品ラベルの表示のほか、“PRODUK REKAYASA GENETIK”(『遺伝子組換え製品』の意)と記載することとされています。
  2. 放射線照射食品
    BPOM規則2018年第3号により、輸入の放射線照射食品には、原産国の政府が発行した放射線照射証明の添付が義務付けられています。ラベルには食品ラベルの表示のほか、食品の種類の後ろに“PANGAN IRADIASI”(『放射線照射食品』の意)と記載し、法令で定められた専用ロゴを付します。
  3. ハラール認証
    宗教大臣規則2019年第26号により、国内で流通する食品には2024年10月17日以降、イスラーム法で許されていることを意味するハラール認証を受けていることが義務付けられています。ハラール認証は、ハラール製品保証実施庁(BPJPH)に認定された国内外の認証機関が審査し、発行します。ハラール認証を受けた食品は、次に掲載したハラール・ラベルの表示が必要です。逆にハラールでない食品は、ハラールでない旨を製品に表示することが義務付けられています。ただし、政令2024年第42号により、海外から輸入される食品に対するハラール認証の義務は、最大で2026年10月17日まで猶予されています。