ビジネス関連法

雇用主が法律に従い人員削減報告を実施することに関する通知

2009年2月27日作成

【法令名称】
雇用主が法律に従い人員削減報告を実施することに関する通知
【発布機関】
上海市人力資源・社会保障局
【発布番号】
滬人社関発〔2009〕3号
【発布日】
2009年1月8日
【施行日】
2009年1月8日

主旨と目的

「労働契約法」第41条の規定により、雇用主が人員削減を行う際に労働行政部門に対し行わなければならない実施報告に関連する事項を明確にする。

内容のまとめ

本通知は、「労働契約法」第41条に規定する人員削減(以下「リストラ」という。)の実施報告(即ち、「雇用主が20人以上を削減する必要がある、又は削減する必要のある人数が20人に満たないが、企業の従業員総人数の10%以上を占める場合、労働部門にリストラ実施案を報告しなければならない」)を上海市範囲内において徹底的に実施するために、その手続き等を具体化したもので、その受理範囲や書類などを詳細に定めている。

また、「労働契約法」第41条では、「雇用主は30日前までに、労働組合又は従業員全員に状況を説明し、意見を聴取しなければならない」とされているが、「30日前までに」に対する基準日が明確に定められていない。本通知によれば、基準日は労働部門にリストラ案を報告した日であると明確に定められており、雇用主による労働組合又は従業員全員への状況説明、意見聴取のために、充分な時間が与えられている。

その他、主たる内容は以下の通りである。

労働部門の受理範囲(第1条) 上海市人力資源・社会保障局
  1. 市に属する国有企業とその持株支配企業、及び登録資本金が一千万米ドル(或いは一千万米ドル相当)以上の外商独資企業。
  2. 上海市にある中央直属の企業。
区・県の労働部門 各区・県の行政区域内において、上海市労働行政部門が受理する範囲以外の企業。
例外:浦東新区行政区域内において、上海市にある中央直属の企業以外の各種企業によるリストラ報告は、全て浦東新区労働行政部門が受理する。
提出資料(第2条)
  1. 「企業営業許可書(副本)」と「労働組合法人資格証明書」のコピー。労働組合を設立していない場合、従業員全員が署名をもって従業員代表を推薦したことを証明する資料を提出する。
  2. 労働組合の代表或いは従業員代表の個人資料。これには氏名や身分証明書番号、職場・職務と労働契約期限などの内容を含む。
  3. 企業が作成する書面によるリストラ案。これにはリストラ人数や、リストラ人数の従業員総人数に占める比率、人員削減名簿(氏名、身分証明書、労働契約期限)、経済補償金の準備情況と企業が救済措置を取るかどうかの情況説明などの内容が含まれる。
  4. 企業が労働組合或いは従業員に情況を説明し、意見を聴取した資料。書類の内容は、企業がリストラを実施する理由、労働組合或いは従業員に情況を説明した日付と方式、労働組合或いは従業員に意見を募った情況などを含む。本法令の添付資料一である「企業人員削減情況報告表」を参照すること。
報告期間(第3条) 雇用主の労働組合或いは従業員に対する情況説明から、報告書を労働行政部門に送達するまでの期間は30日を下回ってはならない。

日系企業への影響

本通知は上海市で設立された各種の企業(日系企業を含む。)に適用される。企業が、経済的理由による人員削減(即ち、「労働契約法」第41条に定める人員削減)を実施する場合、本通知で定める受理部門、提出資料及び報告期間等の規定に基づき、関連の労働部門に人員削減案を報告しなければならない。

なお、本通知第1条第1項第1号には、登録資本金が1千万米ドル(又は1千万米ドル相当)以上の「外商独資企業」が行うリストラが上海市人力資源・社会保障局の受理範囲(浦東新区を除く)に該当すると規定されており、登録資本金が1千万米ドル(又は1千万米ドル相当)以上の「外商合弁企業」、「中外合弁企業」及び「中外合作企業」については上海市人力資源・社会保障局の受理範囲に属すると定められていない。従い、「外商合弁企業」、「中外合弁企業」及び「中外合作企業」は登録資本金の額に関係なく区・県レベルの労働部門が受理することになる。

また、「労働契約法」第41条の規定に厳格に基づけば、企業は関連の労働部門に報告しなければ、人員削減を行うことができない。但し、本通知の規定がいう「報告」とは届出手続であって、審査・許可手続ではない。従い、企業は実施報告書を提出すれば、人員削減案が法律法規に抵触するため労働部門から是正を命じられる場合を除き、労働部門から受領書を発行され、受領書を取得した後に人員削減を実施することになる。