ビジネス関連法

江蘇省企業民主的管理条例

【法令名称】
江蘇省企業民主的管理条例
【発布機関】
江蘇省第十期人民代表大会常務委員会
【発布番号】
江蘇省第十期人民代表大会常務委員会公告第139号
【発布日】
2007年9月27日
【施行日】
2008年1月1日
【法令紹介】
 

主旨と目的

  • 安定し調和のとれた労働関係を構築し、従業員の民主的権利を擁護し、企業の発展を促がす。(第1条)

内容のまとめ

本条例は、江蘇省行政区域内の企業が民主的管理制度を制定し、従業員代表大会、団体交渉及び労働協約、従業員兼務董事及び従業員兼務監事、企業の業務の公開等の形式を通し、従業員に企業管理に参与させ、従業員が民主権利を行使できるようにする。本条例の主な内容として次のものが含まれる。










従業員代表大会
  • 企業は、従業員の代表大会制度を制定しなければならない。従業員が百人以上の企業は従業員代表大会を開催しなければならず、従業員が百人に満たない企業は、従業員全体大会を開催し、従業員代表大会の諸職権を行使することができる(第5条第1項、第4項)。
  • 従業員代表大会の職権、代表の規模、構成及び議事の手続等につき規定(第6条、第8条、第9条、第12条、第13条)。
  • 従業員代表大会が職権の範囲内で下す決議及び可決事項は、企業と従業員に対し拘束力をもつ(第14条第1項)。
  • 企業は毎年、従業員代表大会に対し、従業員代表大会の決議の執行状況を報告しなければならない(第14条第1項)。
  • 小型企業が比較的集中する区域では、郷鎮、町内、村、地域社会、開発区、工業園区の労働組合等の区域の労働組合又は県級以下の業種の労働組合が、地域又は業種の従業員代表大会を開催させることができる(第15条)。
従業員兼務董事及び従業員兼務監事
  • 国有企業を除くその他の企業は、従業員兼務董事を設置するか否かを自主的に決定することができる(第18条第1項)。
  • 企業は適切な比率の従業員兼務監事を設置しなければならない。(監事会構成員総数の三分の一を下回ってはならない。)(第18条第2項)
  • 従業員兼務董事/監事の選出方法、候補者の制限等について規定(第19条)。
企業の業務の公開
  • 企業は、規則制度、経営状況、団体交渉、雇用管理、社会保険、労働安全、従業員の賞罰と削減等の内容を従業員に公開しなければならない(法第21条第1項)。
  • 企業の業務の公開の形式を定めている(第22条)。
団体交渉及び労働協約
  • 「江蘇省労働協約条例」を適用する(第32条)。
法的責任
  • 企業に次に掲げるいずれかの状況が認められたときは、労働行政部門から期限付きの是正が命じられ、期限が過ぎても是正されないときは、罰金が科され、かつ企業の法定代表者又は主要責任者及びその他の責任者が罰金を科されるおそれがある(第28条)。
  • 従業員代表大会の開催を拒絶したとき。
    • 従業員代表大会が法に照らして下した決議を、執行しなければならないのに執行を拒絶したとき。
    • 従業員代表大会の代表、従業員兼務董事及び従業員兼務監事が、法に照らして職責を履行することを妨害したとき。
  • 企業による本条例に違反するその他の行為についても相応の法的責任を定めている(第29条、第30条)。

日系企業への影響

本条例は、江蘇省行政区域内の企業(日系企業を含む)に適用する。厳格に言うならば、江蘇省行政区内の日系企業は、本条例の規定に基づき、民主的管理制度を制定し、従業員代表大会、団体交渉及び労働協約、従業員兼務董事及び従業員兼務監事、企業の業務の公開等の形式を通し、従業員に企業管理に参与させ、従業員が民主権利を行使できるようにしなければならない。

また、本条例に違反する一部の行為については法的責任を設けているが、本条例の立法の目的は安定し調和のとれた労働関係を構築することにあるため、本条例ではかかる違反行為により発生した紛争については、原則として、交渉や地方総労働組合又は労働行政部門による調停等を通し解決することを求めている。また、本条例は、企業の労働組合、地方総労働組合、産業労働組合、労働行政部門の職責についても多くの条項を設けており、労働組合及び政府が適度に関与することで本条例が有効に執行されるよう試みている。