ビジネス関連法 2008年に賃金団体交渉を推進することについての通知

【法令名称】
2008年に賃金団体交渉を推進することについての通知
【発布機関】
上海市労働社会保障局、上海市総労働組合、上海市企業聯合会/上海市企業家協会
【発布番号】
滬労保綜発〔2008〕18号
【発布日】
2008年3月7日
【施行日】
2008年3月7日

主旨と目的

2008年の賃金団体交渉を一層推進し、企業の従業員の賃金の正常な引上制度を制定し、労働関係の調和のとれた安定を促す。(第一段目)

内容のまとめ

本通知は、2008年に上海市が賃金団体交渉を促進するという目標に対し、賃金団体交渉を実施しなければならない企業の範囲、交渉内容の重点等について規定を行っている。主な内容として次のものが含まれる。

目標
  • 労働組合を組織した非公営企業(日系企業を含む)のうち、60%以上の企業が賃金団体交渉を実施すること。(第1条第1項第3号)
賃金団体交渉を実施しなければならない企業の範囲 以下の企業は、原則として、賃金団体交渉を実施しなければならない。(第2条第1項)
  • 50%以上の従業員の賃金が、上海市従業員の平均賃金の50%より低く、又は従業員の賃金の引上率が1.5%を下回る企業。
  • 最低賃金の受領人数が30%を超える企業。
  • 出来高賃金制を実施する企業。
  • 行政通知を受けた後、賃金団体交渉の実施を承諾した企業
  • 労働集約型企業が比較的密集する工業園区の企業。
交渉内容の重点
(第2条第2項)
  • 上海市の企業の賃金引上指導ラインに基づき、本企業の経営効果及び従業員の賃金水準とあわせ、年度の従業員の賃金引上目標を提示する。
  • 上海市の労働力市場の賃金指導価格水準を参考にし、かかる職位の従業員の賃金を調整する。
  • 企業の実際の状況とあわせ、従業員の基本的福利項目を完備する。
  • 出来高賃金制を実施する企業は、労働ノルマ基準及び出来高単価を制定し、又は改定する。

日系企業への影響

本通知は、効力上は上海市の地方規範性文書に該当し、法令の内容から判断すると、本規範性文書は、主に政府部門及び関係機関(労働行政部門、上級労働組合、企業聯合会を含む。)内部に賃金団体交渉の目標や手配といった事項を提示するものであるが、直接には日系企業に対し強制的な義務は設定してはいない。

勿論、上海市各区県の関係政府部門及び関係機関(労働行政部門、上級労働組合、企業聯合会等を含む。)は、2008年、本通知に定められた目標と手配をその任務とし、上海市行政区域内の企業(日系企業を含む)に対し、賃金団体交渉業務を大々的に宣伝し、推進することが予想される。ただし、宣伝、意見交換、協議といった手段を採用し、行政罰を振りかざすなどの強制的な手法は用いないと見られる。