ビジネス関連法

外国企業常駐代表機構登記管理条例

2010年6月17日作成

【法令名称】
外国企業常駐代表機構登記管理条例
【発布機関】
国務院
【発布番号】
国務院令第584号
【発布日】
2010年11月19日
【施行日】
2011年3月1日

主旨と目的

外国企業常駐代表機構の設立及びその業務活動を規範化する(第一条)。

内容のまとめ

本条例の前身は、1983年に公布された「外国企業常駐代表機構登記に関する管理弁法」(以下、「旧弁法」という)である。中国の経済環境と法律制度環境等が著しい変革を遂げ、これに伴ない旧弁法の遅れが目立ちはじめ、結果、旧弁法は、本条例に取って代わられた。旧弁法と比較すると、本条例は主に下記の点で大きく改正を行っている(ご注意いただきたいこととして、旧弁法に明確な規定がないにもかかわらず、実務において一部の内容は前より実施されている)。

代表機構の性質と業務範囲を明確に定義づける

性質
(第二条)
  • 外国企業常駐代表機構(以下、「代表機構」という)とは、外国企業が本条例の規定に基づき、中国国内で設立した当該外国企業の業務に係る非営利活動(※1)を行う事務機構を指す。
  • 代表機構は法人格を有しない。
※1 本条例第十三条では、例外規定がある。即、中国が締結し又は加盟している国際条約、協定に別途規定がある場合、その規定に従う。但し、中国が保留を声明した条項は、この限りではない。詳細は、後文を御覧ください。
業務範囲
(第十四条)
代表機構は外国企業の業務に係る下記の活動を行うことができる。
  1. 外国企業の製品又はサービスに係る市場調査、展示、宣伝活動。
  2. 外国企業の製品販売、サービス提供、国内買付、国内投資に係る連絡活動。

旧弁法の執行過程における実務経験をまとめ、係る制度の整備を行う

設立登記においては、次の通り。

登記事項
(第九条)
代表機構の名称、首席代表の氏名、業務範囲、駐在場所、駐在期限、外国企業の名称及びその住所(新規追加)。
代表機構の名称
(第十条)
  • 外国企業の国籍+外国企業の中国語名称+駐在都市の名称+代表処
  • 下記の内容及び文字を含んではならない。
    1. 中国国家の安全又は社会の公共利益を損なうもの。
    2. 国際組織の名称。
    3. 法律、行政法規又は国務院の規定により禁止されているもの。
提出資料
(第二十三条)
  • 追加:外国企業の住所証明及び2年以上存続していることを証明する適法な営業証明、外国企業の定款又は組織協議等。
  • 法律、行政法規又は国務院の規定に基づき、代表機構の設立が許可を要する場合、外国企業は許可日より90日以内に、登記機関に設立登記を申請し、且つ係る許可文書を提出しなければならない。
  • 中国が締結し又は加盟している国際条約、協定に基づき、営利活動に従事する代表機構を設立できる場合、法律、行政法規又は国務院の規定に従い、更に係る文書を提出しなければならない。
審査許可期限
(第二十四条)
  • 登記機関は、申請受理日より15日以内に登記を許可するかどうかについて決定を行い、決定前には必要に応じて関連部門の意見を聴取することができる。
  • 決定日より5日以内に申請者に登記証及び代表証を発行し、又は登記拒否通知書を発行し、登記を許可しない理由を説明しなければならない。

登記変更においては、下記の通り。

登記事項の変更
(第二十七条)
  • 登記事項を変更する場合、登記事項の変更発生日より60日以内に登記変更を申請しなければならない。
  • 登記事項の変更が法律、行政法規又は国務院の規定に基づき、登記前に許可が必要となる場合、許可日より30日以内に登記変更を申請しなければならない。
駐在期限の延長
(第二十八条)
  • 代表機構は、駐在期限の満了後も引き続き業務活動を行う場合、外国企業は駐在期限満了の60日前までに登記機関に登記変更の申請を出さなければならない。
その他事項の変更
(第三十一条)
  • 外国企業のサイン権者、企業の責任形態、資本(資産)、経営範囲及び代表に変更が生じた場合、外国企業は上記事項の変更発生日より60日以内に登記機関に届出なければならない。
審査許可期限
(第三十条)
  • 登記機関は、申請受理日より10日以内に、登記変更を許可するかどうかについて決定しなければならない。
  • 決定日より5日以内に登記証及び代表証を再発行し、又は登記変更拒否通知書を発行し、登記変更を許可しない理由を説明しなければならない。

登記抹消においては、下記の通りである。

登記抹消の申請
(第三十二条)
下記状況のいずれかに該当する場合、外国企業は下記事項の発生日より60日以内に、登記機関に登記抹消の申請を行わなければならない。
  • 外国企業が代表機構を取り消す場合。
  • 代表機構の駐在期限が満了し、業務活動を継続しない場合。
  • 外国企業が終了する場合。
  • 代表機構が法により許可を取消され、又は閉鎖を命じられた場合。
審査許可期限
(第三十四条)
  • 登記機関は、申請を受理した日より10日以内に、登録抹消を許可するかどうかについて決定を行わなければならない。
  • 決定日より5日以内に抹消許可通知書を出し、登記証及び代表証を返納させ、又は登記抹消拒否通知書を出し、登記抹消を許可しない理由を説明しなければならない。

また、本条例において、代表機構の年度報告制度を確立した。

年度報告制度の確立
(第六条)
毎年3月1日から6月30日までの間に登記機関に年度報告書を提出し、外国企業の適法な存続状況、代表機構の業務活動の進捗状況、及びその会計士事務所の監査を受けた費用収支状況等の関連状況を説明しなければならない。

業務活動展開の規則を明確にし、代表機構の実際な需要を満たす

一部の代表機構が営利活動に従事することを認める。

本条例は、中国のWTO加盟時の約束を履行する要求に基づき、次の通り定める。

本条例の規定
(第十三条)
コメント
代表機構は営利活動に従事してはならない。 原則的な規定である。
中国が締結し又は加盟している国際条約、協定に別途規定がある場合、その規定に従う。
  • 即、一部の項目については、代表機構は営利活動を行うことができる。
  • 例えば、中国WTO加盟議定書の附属書9「サービスにおける特定の約束にかかる表、第2条最恵国待遇免除リスト」では、中国で設立される外国企業の代表処はいかなる営利活動にも従事してはならないが、CPC861、862、863、865【即、法律サービス(中国法律サービスを含まない)、会計、監査と簿記サービス、税収サービスと管理コンサルティングサービス】の特定約束における代表処はこの限りではない(分野横断的約束の部分)とされている。
但し、中国が保留を声明した条項は、この限りではない。
  • これは、上記「別途規定がある」の例外であり、中国が保留を声明した条項は、中国に適用しないということである。
  • 現時点では、この方面の保留事例が見当たらない。

また、これら代表機構の設立を申請する場合、法律、行政法規又は国務院の規定に基づき、係る文書を提出しなければならない旨を求めている(第二十三条)。

首席代表が一定の条件において登記申請文書にサイン権があることを認める。

代表機構の実際運営の必要に応じて、本条例では、首席代表は外国企業による書面での授権範囲内において、外国企業を代表し代表機構登記申請文書に署名することができるとされている(第十一条)。

代表機構が自由に駐在場所を選択することを認める。

代表機構の駐在場所は、外国企業が自らで選択できる。また、本条例では、国家の安全及び社会の公共利益の需要に応じて、関連部門は法により代表機構に駐在場所の調整を求め、且つ遅滞なく登記機関に通知することができる旨を授権している(第十五条)。

外国企業が自由意志で代表機構の駐在期限を決定することを認める。

代表機構の駐在期限は、外国企業の存続期限を超過してはならない(第十六条)。

違法行為取締において登記機関が行使できる職権および係る違法行為の法的責任

本条例では、違法行為取締の際、登記機関が法により行使できる職権及び係る違法行為の法的責任等についても明確に定めている(第二十一条及び第六章)。

日系企業への影響

本法令の日系企業への影響について、下記の通り。

  • 外国企業常駐代表機構を新設する場合
    • 本条例の規定に基づき設立登記手続きを行う。
  • 外国企業常駐代表機構を既に設立している場合
    • 本条例の規定に基づき、毎年、年度報告を行う。
    • 登記変更、抹消の際、本条例の規定に基づき、登記手続きを行う。
  • その他影響
    外国企業常駐代表機構登記管理条例(中文)PDFファイル(158KB) / 日本語仮訳PDFファイル(194KB)

※本ページの内容および添付の資料はジェトロが里兆法律事務所に委託して作成しました。ジェトロは同事務所の許諾を得て本ウェブサイトに掲載しています。
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