ビジネス関連法 外商投資企業外貨資本金支払人民元転管理の関係業務取扱を整備することについて

2008年11月19日作成

【法令名称】
外商投資企業の外貨資本金の支払及び人民元転管理の関係業務取扱事項を整備することについての国家外貨管理局綜合司による通知
【発布機関】
国家外貨管理局
【発布番号】
匯綜発[2008]142号
【発布日】
2008年8月29日
【施行日】
2008年8月29日

主旨と目的

  • 外商投資企業の外貨管理を改善し、外商投資企業の外貨資本金の資本金検査及び支払・人民元転などの業務に利便を図り、外貨指定銀行と会計士事務所の関連業務のオペレーションを規範化する(序文)。
  • ホットマネーが外商投資という方式で中国に流入することを抑制する。

内容のまとめ

本通知は、外商投資企業の外貨資本金支払・人民元転等の関連業務、外貨指定銀行及び会計士事務所の関連業務のオペレーションについて具体的な要求を行っている。主な内容は次の通りである。

資本金の人民元転の事前手続及び累計金額の制限
(第1条)
  • 外商投資企業が銀行に資本金の人民元転を申請する場合、事前に会計士事務所による資本金の検査を受けなければならない。
  • 資本金人民元転の累計金額は、当該外商投資企業の資本金検査の累計金額を上回ってはならない。
資本金の人民元転によって得た人民元資金の用途
(第3条)
  • 政府審査許可機関が許可した経営範囲内で使用しなければならない。
  • 別途規定がある場合を除き、国内の株式投資に使用してはならない。投資性外商投資企業が国内の株式投資を行う場合、その資本金の国内振替は、外貨管理部門の認可を取得した後で行わなければならない。
  • 外商投資不動産企業を除き、自社使用目的以外の国内不動産の購入に用いてはならない。
  • 証券投資に使用する場合、中国の関連規定に従わなければならない。
資本金の人民元転手続申請書類
(第4条)
  1. 外商投資企業外貨登記ICカード。
  2. 人民元転で得た人民元資金の支払指図書。
  3. 人民元転後の人民元資金用途の証明文書。
    • 商業契約又は受取人が発行した支払い通知を含む。
    • 人民元貸付金の返済に使用する場合、当該貸付金が契約の約定に従い、許可された経営範囲内で使用されたことを説明する文書も提出しなければならない。
  4. 会計士事務所が発行した直近1期の資本金検査報告(外国側の出資状況照会状の回答を添付しなければならない)。
  5. 前回の資本金人民元転で得た人民元資金が支払指図書に従って対外的に支払われたことに関連する証明書とその使用状況明細リスト、及び企業公印又は財務印を押印した領収書などの関連証明書類の写し。人民元転が1回限り、又は分割人民元転の最終回である場合、国内機構又は個人は人民元転後5営業日内に前述の資料を銀行に提出しなければならない。
  6. 銀行が補充する必要があると判断するその他の資料。

[備考]

  • 5万米ドル(5万米ドルを含む)相当以下の企業準備金で人民元転を行う場合、企業は第3項、第5項の書類を提出する必要はなく、その資本金口座の利子に対しては、銀行が発行した利子明細で直接に人民元転を行うことができる。
  • 銀行は、上記の資料に基き、外商投資企業の資本金人民元にて得た人民元資金の用途の真実性と適法性を真剣に審査するものとし、各資料の間で裏付けがとれず又は矛盾していることを発見した場合、当該企業の関連業務を取扱ってはならない。
資本金の人民元転によって得た人民元資金の支払日
(第5条)
  • 外商投資企業の資本金口座と人民元口座が同一の銀行に開設されている場合、人民元転を行う銀行は、当日中に人民元転手続、人民元資金の入金、対外支払振替手続を完了させなければならない。
  • 異なる銀行の場合は、人民元資金の振込銀行は2営業日内(振込当日を含む)に支払指図書に基き、当該資金の対外支払振替手続を終えなければならない。

[備考]
企業資本金人民元転を当該企業の準備金の回転や給与賞与の支払いに使用する場合、人民元転で得た人民元資金は、企業自身の人民元口座に保留することができる。

株式譲渡対価の入金と人民元転
(第6条)
  • 国内機構または個人が、外国投資者に自己の保有する国内企業の株又は権益を譲渡することで受け取った外貨購入対価は、資産現金化専用口座を通じて入金と人民元転を行わなければならない。
  • 資産現金化専用外貨口座の開設及び資金の入金は、所在地の外貨局の認可を受けなければならない。
  • 国内機構又は個人が、資産現金化専用外貨口座の資金を人民元転する場合、関連資料をもって、直接に銀行で手続を申請しなければならない(必要資料は、資金人民元口座の手続申請で提出する資料の第2項、第3項、第5項と同じである)。

日系企業への影響

本通知は、外商投資企業(日系企業を含む)、外貨指定銀行、会計士事務所という3つの方向から、外商投資企業の外貨資本金の支払・人民元転、及び株式譲渡対価の入金及び人民元転に対する監督管理を強化することで、ホットマネーが外商投資という方式を通して中国に流入することを防ぐものである。

本通知が企業に与える影響には次のものがある。

  1. 資本金人民元転の事前手続が追加された。
    外商投資企業が銀行に資本金人民元転を申請する場合、事前に資本金検査手続を行わなければならない。
  2. 資本金人民元転の規模が制限された。
    外商投資企業の資本金人民元転の累計金額が当該外商投資企業の資本金の資本金検査累計金額を上回ってはならない。
  3. 資本金人民元転の使用が制限された。
    外商投資企業の資本金人民元転により得た人民元資金が株式投資、不動産業、証券業等に流入することを制限し、企業が範囲を超えて資本金人民元転資金を使用することを防ぐ。
  4. 資本金人民元転の資金支払日が制限された。
    資本金口座及び人民元口座を同一銀行で開設している場合、当日中に人民元転、人民元資金の入金、及び対外支払振替手続を終えなければならない。同一の銀行に開設したのでない場合は、2営業日内(人民元資金振込当日を含む)に対外支払振替手続を行わなければならない。
  5. 銀行による人民元転した資金の使用状況の検査が必要になった。
    外商投資企業が資本金人民元転を行う場合、及び国内機構又は個人が資産現金化専用外貨口座の資金人民元転を行う場合、銀行に人民元転にて得る人民元資金の使用状況の証明文書等の資料を提出しなければならない。
  6. 株式譲渡対価の入金と人民元転が厳しく監督管理されることになった。
    国内機構又は個人が外国投資者に自己の保有する国内企業の株式又は権益を譲渡して取得した外貨購入対価は、資産現金化専用口座を通して入金と人民元転を行わなければならない。当該専用口座の開設及び資金入金は、外貨管理部門の許可を受けなければならない。