自由貿易試験区投資実務関連質問Q&A(一)(二)

作成日:2013年10月15日

法令名称
自由貿易試験区投資実務関連質問Q&A
発布機関
中国(上海)自由貿易試験区管理委員会
発布日
2013.10.10

主旨と目的

本Q&Aは、社会で注目されている自由貿易試験区での投資などの問題に回答することを旨とし、社会一般大衆が自由貿易試験区に関する基本制度について理解する手助けとなる。

内容のまとめ

本Q&Aは全部で30項目であり、その範囲は自由貿易試験区の特別政策のみにとどまらず、同時に、投資、会社管理などに関する一般的な問題についても部分的に回答している。以下は主として自由貿易試験区の特別政策に関する一連の問題に対する解答をまとめたものである。

自由貿易試験区で実施する届出管理制
【届出範囲】(Q&A3)
  • 外商投資プロジェクト(ネガティブリスト以外の分野、認可保留とする個別項目は除く)
  • 外商投資企業契約・定款
  • 国外での企業投資設立
  • 国外投資一般項目
【届出制と審査許可制の区別】(Q&A7)
外資参入段階において、審査許可制では、商務主管部門はまずその投資主体資格、投資分野業界、投資方式、投資金額、設立予定会社の契約・定款などの真実性、適法性について審査、認可を行うという、一種の事前管理の方式であるが、届出制では、商務主管部門はその投資主体資格、投資分野業界などの基本情報に関する届出を行うのみであり、投資管理は中間過程、事後の監督管理の重視へと変更されている。
自由貿易試験区内の企業は区外への再投資または業務展開ができるか(Q&A5)
できる。全体方案において自由貿易試験区内でのみ経営、サービス提供を限られている分野を除く。
自由貿易試験区内企業の登録資本に関する要求
【区外との登記制度の違い】(Q&A13)
  • 登録資本引受登記制を試行する(法律、行政法規で払込みについて別途規定がある場合は除く)。
  • 工商部門は会社の全株主、発起人が引き受けた登録資本または株式資本(即ち、会社の登録資本)を登記し、会社の払込資本は登記しない。
【区外との登記条件の違い】(Q&A14)
法律、行政法規、国務院の決定で特定業界の登録資本最低限度額について別途規定がある場合を除き、自由貿易試験区内では登録資本登記条件が緩和されている。
  • 有限責任会社の最低登録資本3万元、一人有限責任会社の最低登録資本10万元、株式会社の最低登録資本500万元の規定を取り消している。
  • 会社設立時の全株主(発起人)の初回出資額および比率を制限しなくなる。
  • 会社全株主(発起人)の現金出資額の登録資本に占める割合を制限しなくなる。
  • 会社株主(発起人)の出資全額払込み期限を規定しなくなる。
自由貿易試験区内企業の営業許可証(Q&A16とQ&A26)
  • 本年10月1日から工商部門は自由貿易試験区内で新たな営業許可証の使用を開始する。
  • 様式、記載事項、色などにおいて区外企業と異なる。「農民専業合作社法人営業許可証」、「個人事業主営業許可証」を除き、その他の各種企業の営業許可証は一つの様式で統一されている。
  • これまでの営業許可証は依然として使用できる。10月1日以前に営業許可証を取得している企業は工商部門に新版営業許可証の交換発行を申請することができる。
自由貿易試験区内企業は年度検査が必要か(Q&A27)
  • 年度検査は必要なく、「年度報告公示制」を試行している。
  • 年度報告公示制では、企業は年度毎の所定期限内に、市場主体信用情報公開システムを通じて工商部門へ年度報告を送付した上で、社会に対し公表しなければならす、如何なる事業者および個人も照会を行うことができる。企業は年度報告の真実性、適法性について責任を負う。
自由貿易試験区外の会社は自由貿易試験区内に移転できるか(Q&A30)
  • できる。
  • 移転後は、自由貿易試験区内の政策に従って登記を行い、元の営業許可証を返納し、新版営業許可証の発給を受けなければならない。

日系企業への影響

本Q&Aは関連効力を備えた法律文書ではなく、新たな法律制度を設けてはいない。
本Q&Aは社会で注目されている自由貿易試験区での投資などの代表的な問題に回答することを旨とし、自由貿易試験区で投資などを行う場合の基本知識および制度の概要を日系企業が理解する助けとなる。聞くところでは、本Q&Aは社会一般大衆からの問い合わせ状況に応じて不定期的に更新されるとのことであり、これについて、今後も注目していくことが考えられる。


2013年10月23日発布の 自由貿易試験区投資実務関連質問Q&A(三) も参照のこと。

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