2025年版 ジェトロ世界貿易投資報告

―多国間主義に瓦解の兆しー試されるグローバルビジネスの耐性―

2025年07月24日

本年の報告について

  • 「ジェトロ世界貿易投資報告」は、世界と日本の貿易・直接投資、通商政策、および国際ビジネスに関わるルールの最新動向を豊富なデータを用いて分析した年次レポートです。
  • 本年の報告は、保護主義の台頭やルールを逸脱する通商措置の拡大が、国際経済秩序に与える影響を多角的に分析するとともに、厳しさを増すグローバルビジネス環境の行方を展望しました。

2025年版世界貿易投資報告のポイント

1.米国発の関税措置が引き起こす需給ショック
2024年の世界貿易は金額・数量ともに増加したものの、米国第2次トランプ政権の関税措置により状況は一変。不確実性の著しい高まりが2025年の世界貿易の伸びを下押しする見通し。
米国の関税措置の影響は、日本の直接輸出のみならず、日本企業のサプライチェーンに広範に波及。調達・販売や価格戦略の見直し、米国外市場での中国製品との競争なども新たな課題に。
2.産業政策と地政学が揺さぶる企業の投資戦略
世界の直接投資は停滞。2025年上半期はグリーンフィールド投資、クロスボーダーM&Aとも記録的な低水準。政策の不確実性の高まり、追加関税による世界経済や資本市場の混乱が要因。
投資の分断と再編が進む局面で、中東などのグローバルサウス諸国では、消費市場、インフラや資源を巡る多国籍企業の競争が激化。
3.綻ぶ国際通商秩序、問われる同志国連携の意義
地政学リスクの高まりに伴う政策介入の広がりは、貿易投資の不確実性を高め、日本企業にさまざまな対応を迫る。情報収集や社内教育、輸出管理上の審査強化などが当面の優先課題に。
国際通商秩序の根幹が揺らぐ中、日本は自由貿易の旗手として多国間枠組みの強化を推進。CPTPPとの連携を模索するEUや、存在感を高めるグローバルサウス諸国との連携が鍵に。
4.サステナビリティ戦略は新局面へ
サステナビリティを巡る政策動向は、米国新政権による方針転換、EUによる報告義務の緩和など、新たな局面を迎える。グローバル企業は、中長期的な目線での迅速・柔軟な対応が不可欠。

添付資料:2025年版「ジェトロ世界貿易投資報告」

ジェトロ国際経済課 (担当:伊藤、田中)
Tel:03-3582-5177