ジェトロ・ヨハネスブルク事務所

課題から機会へ ―ナイジェリア農業バリューチェーンの高度化(ナイジェリア)

Tropical General Investment (TGI) Group は農業・食品・消費財・金融などを手掛ける複合企業で、ナイジェリアを中心にアフリカ各地で幅広く事業を展開しています。同国の農業分野において、種子改良、収穫後ロスの削減、灌漑、廃棄物活用、包装などの実践的な課題に対し、環境配慮型で実用的な技術を求めています。TGIは広域な農家ネットワーク、自社工場や流通網を有しており、現地での技術導入や実証の機会の提供が可能です。日本企業との戦略パートナーシップや先進的技術を活用し、農業の生産性向上と持続可能な市場創出を目指します。

メッセージ

担当者:Ms. Habiba Sani SULEIMAN
役職:Group Head, Strategic Partnerships

TGIは、パートナーシップの力を強く信じ、イノベーションに深い価値を見出しています。日本企業が食分野にもたらしてきた実績と影響力を高く評価しており、その知見と協業には大きな可能性があると確信しています。日本が蓄積してきた豊富な経験を取り入れ、アフリカ全域で実用的かつ幅広く展開可能な価値創出型ソリューションを共に築いていきたいと考えています。

チャレンジ詳細

Challenges
  1. メタン排出と化学汚染土壌(稲作)
  2. 輸出用作物の保存・貯蔵
  3. 種子品種の劣化
  4. もみ殻灰の有効活用
  5. 処理済み排水の再利用
  6. 高い砕米率の改善
  7. 洪水耐性のある稲品種
  8. 高温対応の灌漑技術
  9. シアナッツの収穫・加工・トレーサビリティ
  10. カカオの病害と再生
  11. 有機除草の機械化
  12. 稲作における環境配慮型包装
Collaboration Needs
1.メタン排出と化学汚染土壌(稲作)
クエラ鳥による稲作被害を防ぐため、多くの農家が有害な化学薬品を使用しています。しかし効果は限定的で、土壌劣化や水質汚染を招き、収量は最大40%低下しています。環境にやさしく、広域展開可能な忌避技術が必要とされています。
2. 輸出用作物の保存・貯蔵
収穫後の保存技術が不十分なため、ナイジェリアでは毎年約90億ドル相当の農産物が失われています。カビや害虫で輸出品が拒否される例も多く、農家の信頼にも影響します。手軽で低コストな保存・包装技術の導入が求められています。
3. 種子品種の劣化
綿やゴマでは再利用された古い種子が多く、綿の収量は240kg/haと世界平均の3分の1以下です。気候変動や害虫に対する耐性が弱く、生産性が著しく落ちています。現地の環境に適応した高収量の改良品種が求められています。
4. もみ殻灰の有効活用
ライスミルの工程で発生する籾殻灰(1日25〜30トン)は、現在埋立処分されています。本来はシリカなどの資源を含み、建材や肥料として再利用の可能性があります。地域や環境に貢献できる再資源化技術が必要です。
5. 処理済み排水の再利用
WACOTライスでは製造工程で発生する約600klの排水を処理し、一部を再利用しています。水資源が限られる中、さらに高度な水再生が求められています。製造工程で再び利用できる再処理技術が期待されています。
6. 高い砕米率の改善
農家の多くが混合種子を使用しており、収穫された籾の大きさにばらつきがあります。加えて、異物混入や不適切な収穫・搬送により精米中の砕米率が5〜15%に達しています。選別技術や精密乾燥・水分制御技術の導入が期待されています。
7. 洪水耐性のある稲品種
2024年には150万ヘクタール以上の農地が洪水で被害を受け、特に稲作に深刻な影響を与えました。これにより輸入依存や農家の債務が増加しています。短期生育型や冠水耐性をもつ稲品種、早期警報技術などの導入が必要です。
8. 高温対応の灌漑技術
北部地域では40℃を超える高温により灌漑パイプが破損・溶解し、水位の低下も相まって灌漑が困難となっています。これにより乾季の作物が失われる事例が増えています。耐熱性に優れた太陽光灌漑技術が求められています。
9. シアナッツの収穫・加工・トレーサビリティ
シアナッツは落下から24時間以内に収穫しなければ品質が劣化しますが、手作業が中心で30〜40%が収穫後に損失しています。女性農家の比率が高いこの分野では、自動収穫・加工技術や廃棄殻の再資源化も課題です。
10. カカオの病害と再生
ナイジェリアのカカオ樹の約60%が老木で、新しい苗も病害で1〜2年以内に枯れる事例が多発しています。平均収量は300〜500kg/haと世界基準を大きく下回ります。耐病性の品種開発や安価な診断技術が望まれています。
11. 有機除草の機械化
有機農法では除草剤が使えず、手作業に頼るため労働コストが40%増加します。特にピーク時の人手不足が課題で、ゴマの輸出も品質不良で損失が生じています。小規模農家向けの非燃料型除草機や乾燥機の導入が求められています。
12. 稲作における環境配慮型包装
ナイジェリアでは精米・玄米ともにポリプロピレン袋で包装されており、廃棄後に環境負荷を与えています。環境基準への対応や輸出市場を見据え、耐湿性や保存性に優れた生分解性素材の実用化が求められています。
Opportunity
  • 技術移転と共同開発

    熱耐性灌漑システムや精密種子選別機、生分解性包装材、収穫後貯蔵システムなど、適応可能な日本の革新技術を、ナイジェリアの現地条件下に適合するよう共同開発・試験を実施し、コメ、シア、綿、カカオのバリューチェーンにおける課題に対応。

  • パイロット実証と現地試験

    TGIが管理する農場と小規模農家ネットワークにおいて、鳥害防止システム、灰の肥料への変換システム、太陽光発電式除草機、シアナッツの周期などの技術導入の可能性を探るため、共同で実証実験を実施し、現地での展開可能性やビジネスモデルの最適化を模索。

  • 研究開発のパートナーシップ

    気候変動に強い作物品種や洪水早期警戒システムなど、サブサハラアフリカの地域条件に適合する種子開発や技術導入に向けた研究開発を促進。

Assets/Support
  1. アフリカ市場への戦略的アクセス

    TGIはナイジェリアを中核に西アフリカで農業・食品分野で広く展開し、米、綿花、ごま、カカオ、シアなどで垂直統合型のバリューチェーンを構築しています。6万人を超える契約農家、現地加工拠点、物流網を融資、日本企業にとっては販路構築、市場調査、現地展開の実証に係る実践的な足場を獲得できます。

  2. 現場起点の技術実証機会

    TGIの生産・加工現場を活用し、技術検証・市場検証が可能。製品の適合性や操作性、コスト構造などをリアルな環境下で検証でき、ローカルニーズに即した改善・展開戦略の策定につなげることができます。

  3. 協業による事業化および資金連携

    TGIは、国際開発金融機関(DFI)や民間ファンドなどと協調実績があり、日本企業との協業プロジェクトにおいて、共同出資やコストシェアによる実行体制の構築が可能。スケーラブルな商業モデルへの移行を見据えた段階的な事業開発にも柔軟に対応できます。

  4. 現地市場への適応に向けた知識の共有

    現地の大学や研究機関との連携し、土壌・作物・気候に関する実証データや農業研究成果を活用可能です。日本の技術を現地の環境に合わせて最適化する際、科学的な裏付けや試験環境が整備されており、共同開発や品種開発への基盤を有しています。

  5. 新興市場への円滑な参入

    ナイジェリアは農業関連市場において非常に大きな潜在性を持つとともに、西アフリカ地域(ECOWAS)のゲートウェイでもあります。TGIは現地で長年の操業実績を持ち、行政機関や地域社会との関係構築に強みがあります。日本企業は煩雑な法規制や輸入手続き、事業環境におけるリスクを低減させながら、段階的かつ信頼性の高い形での市場参入が可能です。

チャレンジオーナーについて

Tropical General Investments (TGI)グループは、農業・食品・医薬・水産・化学など他分野で事業を展開する多国籍企業です。ナイジェリア・ラゴスに本社を置き、現在13か国に展開しています。ナイジェリアでは約7万人の契約農家と連携し、米、カカオ、綿花、ゴマ、シアなどにおいて栽培から加工・流通までを担う統合型バリューチェーンを構築しています。持続可能性と地域共生を重視し、再生可能エネルギーの導入や女性のエンパワーメントにも注力。現地課題の解決に向けた技術提携や共同開発の機械を日本企業と共に探っています。

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