株式会社丸中

泉州タオルの老舗が挑む中国市場─China Japan Streetでオンライン完結のスピード成約を実現

大阪府泉佐野市 ウェブサイト外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

展開国・地域:
中国、台湾・香港・韓国・オーストラリア・米国
事業内容:
タオル企画製造卸事業、小売事業、実店舗販売
取扱製品:
タオル関連製品

海外営業を担当する中道専務取締役と成約したタオル製品

泉州タオルと同社の取り組み

1959年創業の株式会社丸中は、大阪府泉佐野市に拠点を置き、136年の歴史を持つ「泉州タオル」のメーカーです。日本には、今治と泉州の2大タオル産地がありますが、当社では泉州タオルの織り工程を担うと共に、タオル全体の企画開発、また今治タオルの卸も行うなど、幅広く手掛けています。
泉州タオルは、後晒し・後染めによる高い吸水性を特徴とし、一般的には無地で温泉宿やノベルティ向けの実用性を重視したB to B向け製品が主流です。かつて、泉州地域のタオル業者は800社以上を数えましたが、安価な外国産品との競争、産地の高齢化等により、現在では70社程度にまで減少しました。当社では、B to B主体の商流から脱却すべく、2000年代初頭より楽天市場でのネット販売に注力し、自社ブランド「ヒオリエ」でB to Cへの転換に力を入れてきました。フェイスタオルとバスタオルの中間のサイズであるビッグフェイスタオルは、ヒット商品の1つです。通常の糸よりも太い糸を使い、織り方を工夫、吸水性がよく、コンパクトながら1枚で体全体を拭ける特徴が話題となりました。

海外展開への課題とCJS事業参加の背景

当社は主に自社サイトの他、Amazonやアリババといった海外サイトも活用し、オンラインでの注文を通じて、台湾・香港・韓国・オーストラリア・米国といった国・地域との取引実績を重ねてきました。ただ、海外事業の売上は全体の1%未満であり、販路開拓の余地がありつつも、営業は1名体制で、海外出張や現地展示会の参加には限界がありました。
こうした中、2022年1月にジェトロが運営する「Japan Street」に、また2023年3月に「China Japan Street(CJS)」に登録しました。CJSは、WeChat上で日本企業の製品を閲覧・商談できる中国向けのバイヤーマッチングプラットフォームであり、スマートフォンひとつで商談から契約まで完結できる点が、リソースに限りがある同社にとっては非常に魅力的でした。

CJSでのバイヤーとの出会いとスピード成約


2024年7月、CJSを通じて中国・東莞市の雑貨店「森の生活百貨商行」から引き合いの連絡が入りました。バイヤーは、日用雑貨・小型家電を扱い、2013年から中国で個人経営の実店舗を運営しているとのことでした。WeChat上でのメッセージのやり取りを通じて商談がスタート。中国語についても翻訳アプリなどを活用することで、比較的スムーズにコミュニケーションを図ることが出来ました。同年9月には、まず有償サンプルを発送し、店頭での販売テストを実施頂きました。その後評価が高かった製品について、同年10月に追加発注を頂きました。納品製品には、バスタオルやガーゼタオル、ラトル(赤ちゃん用おもちゃ)など幅広い商品が含まれ、当社が得意とする“肌触りがよく吸水性の高いタオル””日本製であること“等が評価されました。現在、追加の取引に向けてバイヤーとやり取りを続けている他、CJS上でのさらなるマッチングにも期待を寄せています。

海外製のタオルは安価でありながら、生産設備の充実により品質が進化、競争環境は一層厳しくなっています。海外バイヤーと話すと、いわゆる和柄のような日本風のデザインへの関心の高さや、環境負荷の低さを具体的な数値として示せるか、といった点が重要であると感じることがあります。自社の既存の強みを生かしつつ、いかにして海外で通用するタオルを開発するか。自社にとって大きな課題です。今後、販路開拓の面では、中国のみならず、欧州市場も視野に入れたいと考えています。引き続きジェトロのオンラインマッチング事業を活用すると共に、日用品関係の国内商談会、商社マッチングといった事業も活用したいと思います。

CJSへの商品掲載の様子

ジェトロ担当者からの一言コメント

同社はマンパワーが限られる中、楽天市場やAmazon、アリババ、ジェトロのJapan StreetやCJSを活用することで、効率的に海外展開に取り組まれている姿が印象的でした。タオルは差別化が難しい商品であり、こうした商品は同社のようにオフライン、オンラインを組み合わせ、積極的に海外バイヤーへの露出を増やすことが重要です。これからも同社の海外展開を支援していきます。

株式会社丸中

大阪府泉佐野市
https://www.marunaka1959.co.jp/外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
代表取締役:中道 哲
事業内容:タオル企画製造卸事業、小売事業、実店舗販売

2025年6月

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