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北浦ファーム

地域一丸となり、英国へ笛吹のブドウを届けることに成功

山梨県笛吹市にて、地域の特性を活かした高品質なブドウ、桃の生産を行う北浦ファーム。英国バイヤーからの引き合いを市の事業者募集を通して知り、初めて海外バイヤーとの商談、輸出に挑戦した。自治体や地域商社、ジェトロと協力しながら、商品の魅力をアピールし、バイヤーとの丁寧なコミュニケーションを心掛けたことにより、輸出成功につながった。

山梨県笛吹市ウェブサイト

展開国・地域：: 英国
取扱製品：: ブドウ（プレミアムシャインマスカット）

商品のことを知らない海外バイヤーに魅力を伝えるための工夫

北浦ファームは、水はけのよい傾斜地、盆地ならではの寒暖差を生かしながら、草生栽培により高品質でおいしいブドウ・桃の生産をしています。近年、ふるさと納税での販売や産地直送のオンラインショップ、SNSの活用など、新しい販売・プロモーション方法にも取り組み、消費者への露出を増やしてきました。
そんな折に、笛吹市による事業者募集を通して、ジェトロのJapan Streetサービスに登録している英国のバイヤーが、デパートやレストランに卸すためのブドウの輸入を希望していることを知りました。不安もありましたが、自分の作ったブドウをより多くの方に食べてもらいたいという思いと、家族の後押しもあり、初めての海外輸出への挑戦を決意しました。
バイヤーとの最初の商談が行われたのは、まだブドウの新芽も出ていない2024年の3月のことでした。直接ブドウを食べて美味しさを知ってもらうことができない中、どのように商品の魅力をバイヤーに伝えるかが課題となりました。今回、北浦ファームのブドウの中でも、特別なプレミアムシャインマスカットを提案したのですが、事前に商品紹介資料を作りこみました。オンラインショップ用にプロに撮影してもらった写真も使用しながら、プレミアムシャインマスカットの味わいや食感、他のブドウとの違いなどを文章に落とし込みました。また、バイヤーが直接農園を訪れて商談した際には、プレミアムシャインマスカットを栽培しているエリアにお連れして、1枝に対して果実をひとつだけならして養分を集中させていることや、美形のブドウに仕上げるために一日に何度も畑に足を運んで房の形を微調整していることなど、高品質を保つための栽培方法の工夫について説明しました。商談当日は笛吹市の立ち合いもあり、世界農業遺産に選ばれている地域の特性についても説明いただきました。商品の魅力を改めて言語化し、様々な角度からバイヤーにアピールしたことにより、北浦ファームのブドウを選んでいただくことができました。

バイヤーとの丁寧なコミュニケーションと関係者との協力が輸出成功の鍵

最初の商談が無事に終わった後も、輸出が完了するまでの間、バイヤーと継続的に丁寧なコミュニケーションを取ることが非常に重要でした。例えば、日本と海外のブドウはサイズが異なるため、注文を受けた際には、バイヤーのイメージと認識のずれが起きないように、事前に写真を送り、一房の重さなどの規格を確認しました。また、直前の天候によってブドウの収穫時期が左右されるため、バイヤーと密に連絡を取り、ベストなタイミングで出荷できるように調整しました。こうした努力が実を結び、商談から約半年後の2024年9月に輸出が実現し、英国の高級ホテルや星付きレストランなどに商品を卸すことができました。
バイヤーとの連絡や商品の輸送については、窓口となって対応をしてくれた地域商社の協力や、資料作成やバイヤーへの積極的な提案の後押しをしてくれたジェトロ山梨のサポートが大きかったと感じています。初めての輸出を全て自分だけでやろうと思うとハードルが高いですが、周囲のサポートもうまく得ることで成功できたと思います。
国内だけでなく、海外のお客様にも商品が届き、美味しいと言っていただけるのは、生産者としてとても励みになります。今後もバイヤーとコミュニケーションを取り、取引を継続させたいと考えています。