晋山窯ヤマツ株式会社

暮らしを彩る名脇役として、世界中の人々が幸せになる世話を焼き続ける

明治元年に創業し、岐阜県土岐市で150年陶磁器製造を行ってきた晋山窯ヤマツ株式会社。白磁土を使用した業務用の煎茶器を主力商品としながら、デザイナーとコラボし新しい表現に意欲的に挑戦している。TAKUMI NEXT事業は2年連続で採択され、米国や香港のライフスタイルショップ、ロンドンのギャラリーショップとの取引に成功。

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展開国・地域:
米国、英国、香港、中国、台湾
取扱製品:
陶磁器

代表取締役 土本正芳氏

商談をテストマーケティングの機会として活用

約10年前から商社経由で海外に商品を輸出してましたが、ロット数が多い分価格を抑えた形での出荷でした。そこまで安くする必要はないのではと思い、実際の価格で売れるか試してみようということで、TAKUMI NEXT事業に応募しました。オンライン商談を通じて高価格帯でもストーリーに共感いただけるバイヤーと出会うことができ、米国のライフスタイルショップからはリピート注文もいただいています。また、国内の商社との取引でも、TAKUMI NEXTで引き合いがあったと伝えることで話が進むこともあります。海外で需要がないと思っていた抹茶椀に思いのほか引き合いがあったり、大ぶりなサイズが好みと聞いていたのに、リサイクル土を使用したシリーズのマグカップでは国内と同じサイズが売れたり、やってみないとわからない発見がたくさんありました。展示会に出展するのはかなり費用がかかるため、商談を通じて現地のニーズを探ることができるのは大きなメリットだと感じています。

リサイクル粘土・リサイクル釉薬を使用した「グランドマグ」

継続することでバイヤーへの魅せ方をブラッシュアップ

TAKUMI NEXT事業は2021年度に初めて採択され、2022年度で2度目の参加となります。前年度の反省から、ラインシートと取引条件を英文化し、商談後すぐに送付できるように準備しました。カタログについては商品数が多いため、バイヤーに見せるものを事前に絞り込み、価格や最低発注量が明確にわかるようにしました。また、ホームページのデザインを作り込み、写真とともに商談中に見せることで、どの商品がほしいか具体的にイメージできるようにしています。加えて、売り切れた商品がわかるECサイトを案内することで、売れ筋を理解してもらい、価格に納得してもらえるよう工夫しています。初年度は商談に臨むだけで精一杯でしたが、継続して参加することで、バイヤーへの魅せ方をアップデートすることができました。最近では台湾や中国からホームページ経由で直接注文をいただくなどの波及効果もありました。

世界のお茶を旅する茶器というコンセプトのもと、バッグを彷彿とさせるシルエットの「Voyage」シリーズ

実践を通して輸出のノウハウを身に着ける

現在はTAKUMI NEXT事業やJapan Streetを通じてイギリス、アメリカ、香港などに展開していますが、陶磁器という商品の性質上、破損のリスクは常にあります。梱包の仕方や輸送方法など、輸出のノウハウについても実践の場を通して少しずつ蓄積していっています。輸送会社によって求められる書類が異なるということや、インボイスの作成方法についても取引を進める中で学んでいます。また、様々なバイヤーと商談をしていく中で、最低発注量を気にされていることがわかったため、扱いやすい数量にして少量から安心して取引できるようにしました。美濃地域では伝統的にメーカーと商社の役割が分かれていたため、商流の構築と実際の取引の際の手続きは課題です。TAKUMI NEXT事業のようなプログラムを通じて、実践の経験を積むことができるのは当社にとっても成長のチャンスだと感じています。

現代の暮らしに合わせて形をリファインした茶器「Frustum」シリーズ。中腹で切り替わるエッジは、東北地方で作られる鉄瓶などで古くから見られる形を引用している

ジェトロ担当者からの一言コメント

同社の伝統とモダンが美しく調和したデザインの陶磁器は多くのバイヤーを魅了しています。商品の価値とストーリーが伝わるよう、ホームページやカタログをデザイナーと一緒に作り込んでいる点が、バイヤーに魅力が伝わっている要因だと思います。価格を下げない代わりに、バイヤー目線で取引しやすいコミュニケーションに力を入れている様子は、他のTAKUMI企業にとっても参考になるのではないかと思います。

晋山窯ヤマツ株式会社

岐阜県土岐市
https://yamatsu-gifu.com/外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
代表者:土本 正芳
設立年:明治元年
事業内容:白磁土を使用した業務用の煎茶器を主力商品としながらも、新しい価値を持った器の提案や、新しい表現にも意欲的に挑戦をしています。お客様や仕入先様、弊社に関わる皆様との信頼関係を大切に誠実な製品を製造し続けます。

2023年4月

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