株式会社今井だるま店NAYA

日本の伝統「高崎だるま」、若きリーダーの海外への挑戦

全国一の生産量を誇る高崎市で張り子(木の型に和紙などを貼り付けて成形する技法)のだるまを創り続けて90年。職人の手作りによる伝統的な工程を継承しつつも、オリジナリティ溢れる斬新な商品を次々と生み出し、国内外から高い評価を受けている。
3代目当主の今井裕久さんは、10年ほど前に海外展開への挑戦を決意。TAKUMI NEXTなど様々な海外プロジェクトに参画し、欧米・アジアなど複数地域にビジネスを展開。

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展開国・地域:
米国、欧州、中国等
取扱製品:
だるま


「だるま」を海外に。チェコでの体験を信じて突き進む。

きっかけはチェコ共和国で開催された、だるまの絵付け体験イベントでした。高崎市の姉妹都市交流の一環で、当時30歳前後だった私はだるま職人として現地を訪れ、チェコ人の前でだるまの髭を書くことになりました。日本では誰もが知るだるまですが、「外国人がどれほど関心を持ってくれるだろうか」と半ば疑問を抱えつつ足を運ぶと、会場には開催前から人が並ぶ予想以上の大反響。当時は本気でだるまが輸出できると考える人はほぼ皆無でしたが、だるまの持つ伝統や文化の魅力を伝えられれば、もしかすると海外でも売れるのではと考えました。国内市場が飽和状態にある中で、挑戦してみようと本格的に取り組むことにしました。
とはいえ、はじめの数年間は苦難の道のり。同業者と協業を模索したり、経済産業省のプロジェクトに参画したり、色々試してみたものの、なかなかビジネスにつながりません。ようやく軌道に乗り始めたのが5年ほど前から、ジェトロ群馬の開設により海外バイヤーに接する機会が一気に増えました。今では海外比率が1割近くまで成長しています。

筆入れを終えただるま

オンラインで世界中のバイヤーと商談

海外バイヤーとのオンライン商談では、「先方が聞きたい事をどう引き出すか?」を強く意識しています。限られた時間の中でより効率的にだるまの魅力を伝えるために、英語で作成したプロモーション動画をバイヤーに見せたり、オンライン商談を行う部屋には実物を並べ手に取りながら商品説明を行ったりとさまざまな工夫を施しています。場数を踏むことに加え、TAKUMI NEXTプロジェクトで紹介頂けるメンターや他の参加企業、日本企業との取引経験も豊富なバイヤーから様々なアドバイスを頂くことで、自社に合った商談スタイルを確立する事ができました。オンライン商談は、効率的に商談がこなせることに加えて、生産現場から直接商談に参加できることも大きなメリットと考えています。バイヤーの要望に合わせて、工房内にある色々なサイズやデザインのだるまをすぐに見せることができます。

今井だるま店NAYAオリジナルブランド「デザイナーズだるま」

「日本の縁起物」という新ジャンル確立への挑戦

だるまは、日本の縁起物。外国の方々はそういう背景をよく知りません。海外の需要を創出するには「だるまに込められた意味・ストーリー」や「作り手の想い」を正しく伝え、だるまが持つ付加価値をより高めることが重要です。現在は米国やフランスの取組に力を入れています。最近、フランス向けに開催したオンラインのだるま製作ワークショップでは、フランス人の日本文化への憧れを目の当たりにして、大きな可能性を感じています。だるまが「インテリア」や「オブジェ」ではなく、様々な想いが込められた「日本の縁起物」だと認知されるようになると面白いと思います。海外に広く浸透させることで、逆輸入のような形で再度日本にもだるまの魅力を還元できないか、とも考えています。今後も海外の顧客に対して一つ一つだるまの価値や意味を丁寧に説明していき、世界中に多くのだるまファンを増やしていきたいです。将来的には、外国の方が「日本と言えば、富士山、芸者、だるま、だよね」と、だるまが日本文化の象徴・代名詞になるという世界を目指します。

ジェトロ担当者からの一言コメント

同社は伝統的な高崎だるまを守り続けると共に、常に広い視野を持ち、製品制作や販路の拡大において新たな挑戦を続ける姿勢が非常に印象的でした。今後とも「だるま業界の新たな先駆者」として、「日本の縁起物」という新ジャンルを海外に確立させるという夢を、私たちも支援して参りたいと思います。

株式会社今井だるま店NAYA

群馬県高崎市
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代表:今井 裕久
設立年:1930年
事業内容:各種だるまの製造・通信販売

2023年6月

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