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八千代酒造合名会社

商品や酒造りへの思いを丁寧に伝えながら、日本酒・和食を広めていきたい

明治20年の創業以来、米作りから酒に醸すまでを「農醸一貫」として志し、日本酒が生まれてくる気候や風土などの環境全体を大切にしながら酒造りを追求。

山口県萩市ウェブサイト

展開国・地域：: ・2020年度香港、中国、シンガポール
・2021年度香港、中国、シンガポール
事業内容：: 「ROOM」「八千代」「Bd-14（ビーディーマイナス14）」などの日本酒の製造・販売

五代目蔵元杜氏蒲久美子氏

パートナーの支援で、輸出に向けた体制を整える

当社は明治時代から続く日本酒の酒蔵です。高齢化の進行と飲酒率の低下により、国内市場が縮小する中、海外市場を開拓しようと2019年にシンガポールでの「FOODJAPAN」に参加しました。バイヤーからも商品を評価いただきましたが、輸出手続きや商談交渉などの具体的なステップがわからず、ジェトロに相談し、2020年9月からハンズオン支援が始まりました。輸出に向けて直面していた複数の課題を克服すべく、ハンズオン支援のパートナーと密にコミュニケーションを取り、アドバイスをいただきながら前へ進めました。輸出ノウハウや貿易実務の知識は、輸出ハンドブックやジェトロの貿易実務オンライン講座を受講して身につけました。市場調査のやり方も教わり、貿易統計情報や現地の実態、輸出のしやすさなどを考慮して香港、中国、シンガポールを対象展開先に選定しました。輸出業者もパートナーからの紹介もあり、当社商品に関心があり輸送業務を担っていただける企業が見つかりました。

米作りから酒に醸すまでを「農醸一貫」として志している

商談も、事前準備と事後フォローで成約率を高める

輸出体制が整うと本格的な商談の開始です。パートナーの紹介でジェトロの海外プラットフォームコーディネーターによるマッチングサービスを活用し、シンガポールのバイヤー複数社と商談しました。パートナーと相談しながら、当社情報が正確かつ魅力的に伝わるような資料を和英2言語で事前に作成したほか、パートナーも商談に同席して輸出方法や契約内容をフォローいただいたので、当社の商品コンセプトや酒造りへの思いに共感いただけるバイヤーとの成約に至りました。また、機微なニュアンスも英語で伝えられるよう、輸出業者にも商談に同席してもらい、手続き面の細かいやり取りもスムーズに進めました。商談後は必ずサンプルを送り、次回の商談時に、商品コンセプトを伝えながら目の前でサンプルを試飲いただいています。商品のフォローができるだけでなく、バイヤーから直接フィードバックもいただけ、成約率の向上にもつながっています。

昔ながらの⽇本酒らしいがつんと旨味のある⼒強い味で⾹りの強い⾷材との相性が良いことが特徴の「⼋千代純⽶⼤吟醸」

日本酒・和食の良さも、世界に広めていきたい

当社はパートナーとの緊密なコミュニケーションの下、数多くの商談を行ってきましたが、自社の状況をオープンに話すことで、限られた経営資源を上手に活用することができたと思います。特に酒造りの時期はどうしても時間が取れないため、ロードマップを作成し、期限を決めながらお互いに動くことで無理なく輸出を進めることができました。また商談を重ねることで、商談の流れ、バイヤーニーズ、輸出のポイントも理解できるようになり、商談後にパートナーからいただいたフィードバックをもとに改善にも努めたことで、成約率が上がりました。当社の日本酒は、「ROOM」は香りが華やかで綺麗な味だと海外でも高く評価されています。また料理との相性が良い「八千代」も、特に中国で縁起が良いとされる「八」の字が冠されていることもあり人気です。海外市場を開拓することで、自社のお酒だけでなく、日本酒・和食の良さを広めていきたいと思います。

専門家からのポイント

国内同様、海外でも日本酒メーカーがシェアを争っています。同社は、山口県萩市では認知されていても全国レベルではほぼ認知されていませんでした。そこで、蔵や商品のストーリーを伝えるべく和文と英文の資料作りに集中し商談準備を整えて、多くの商談へ挑み、輸出開始を実現できました。企業様にとっては初めての海外展開でしたが、杜氏であり海外営業担当でもある蒲様の酒造りへの真剣な思いや拘りが、海外のバイヤーに伝わり、更に現地の消費者にも価値を伝えられた事が成功した一番の理由だと思います。

ご利用いただいたジェトロのサービス

新輸出大国コンソーシアム
日本企業の海外展開を支援する全国のあらゆる支援機関が結集し、海外展開にご関心をお持ちの中堅・中小企業の皆様へワンストップの支援サービスを提供します。