有限会社玉谷製麺所

東日本大震災で風評被害を直に感じ、「世界でここでしか作れないもの、多くの人に欲しいと思われるものを作ろう」と決意。そばやうどんの乾麺業界が落ち込み始めた時期でもあり、パスタならば世界各国の料理に使えると思い、豪雪地帯ならではの雪の結晶をかたどったパスタを開発しました。完全オリジナルデザインの金型をイタリアのメーカーに製造してもらったものの、そのメーカーに「金型は作ったけれどパスタは作れないよ」と言われた通り、なかなか形にはなりませんでした。試行錯誤を繰り返し、70年の歴史と経験がある製麺技術を駆使し、原料や配合比率を変更してようやく商品化に成功。2014年に世界に類のない「雪結晶パスタ」を国際見本市「メゾン・エ・オブジェ」に出展すると、多くの方に注目いただき、海外市場での手応えを確信しました。その後、さらに日本の春を象徴する「サクラパスタ」の開発にも着手し、本格的に海外展開に取り組む体制を構築しました。

海外展開を本格化していく上では輸出手続きなどに苦慮しましたが、ジェトロや山形県の団体および金融機関にもお力添えいただきました。2020年度からジェトロのハンズオン支援事業に応募し、まずは欧米とアジアをターゲットとしましたが、商談会では特に地域にこだわらず多くの国・地域と商談を進めています。ジェトロの海外事務所の農水コーディネーターから市場やバイヤー情報を事前に入手し、ハンズオン支援のパートナーにも助言いただきながら、商品の詳細や調理例などを盛り込んだ資料を作り込むことで、商談時に適切な商品を提案することができました。また現地バイヤーと、現地の食文化や求められる日本のイメージなどを共有し合うことで、それぞれの地域に合った商品展開を進めています。おかげさまで、2017年から輸出を開始した「サクラパスタ」はかわいい、日本らしい、珍しいと海外のお客様にも好評で、最初に志した「世界でここにしかない商品」との評価もいただいています。