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株式会社マルコシ・シーガル

海外展開で大事だと思うのは、自ら現地を見て肌で感じることと人を育てること

北海道根室市にて食品スーパーマーケット「マルシェ・デ・キッチン」を経営。2021 年よりベトナムのホーチミン市に現地法人を設立。道産食料品、主に水産品の輸出を開始。

北海道根室市ウェブサイト

展開国・地域：: ・2020年度ベトナム
・2021年度ベトナム
事業内容：: 食品スーパーマーケット（青果・精肉・鮮魚・惣菜・食品・菓子・日配・飲料・酒・雑貨の販売）

代表取締役社長早川元氏

急成長を続けるベトナムの日本食への関心に着目

当社は漁業を基幹産業とする魚の町、根室市の中心部でスーパーマーケットを営んでいます。今後の人口減少による地域経済の体力の低下や競争が厳しい国内市場の状況から、10～20年先の市場縮小に不安を覚え、外貨や外需獲得のために海外展開へ踏み切りました。
日本食の需要の大きいアジアの中でもベトナムは名目GDPが年成長率約5～8％と高く、特に経済成長が進む、経済の中心地ホーチミン市では、中間層から富裕層の間で日本食需要も高まっています。
同市では約700店舗ある日本食店が、月に約10店舗の新規出店でさらに増えており、今後も生活レベルの向上とともに日本食への需要が高まると予想されることから進出先に選定しました。
海外展開にあたっては先輩経営者、経済産業局、ジェトロに相談しました。特にハンズオン支援の専門家は、当社の意向に基づき、現地商社や飲食店との試食・商談会の開催を支援し、少しずつ現地ニーズを開拓できました。

店舗外観

商品の良さを認めてもらう努力は惜しまない

海外展開を進める過程で新型コロナウイルスの影響により現地への渡航がかなわず、現地法人設立手続きは手間取り、販路開拓も難しくなりました。そのような中、現地の法規制を事前に調査し、各種証明書や事業登録関連などの情報を提供いただいたハンズオン支援の専門家にはとても感謝しています。ベトナムは表面上は自由経済でも、行政間で法規制について話が食い違うなど、実態は外資に厳しいと感じるところもあります。
しかし「北海道」はとりわけ強いブランドとして定着しており、商談先にも「高品質でおいしい」と好評価です。類似品や安価なものが北海道ブランド商品として認知されているケースも多く、時に「値段が高い」とも言われますが、諦めずに商品のおいしさや、ストーリー、安心・安全を訴求しています。現地にない食品・食材かつ北海道産という強みを生かしつつ、TPPの活用や物量増加による物流の効率化により価格を抑え、販売量の拡大を目指します。

コロナ前、ベトナムでの懇親会の様子

ベトナム人社員の採用が現地法人の大きな戦力に

海外展開で大切なことはまず人材の育成です。現地法人設立時にベトナム人1名を社員として採用し、日本の本社で1年半、研修を兼ねて実務を学んでもらいました。多くの時間を共に過ごし、また見聞を広げるために日本各地に出張する機会を与えたことで、日本のビジネスの考え方や商売技術が身に付き、今では現地法人Marukoshi Seagull Vietnam社の社員として、ベトナム事業を軌道に乗せるために現地で奔走してくれています。またもう一つ海外展開で大切なのが、経営者が自分の目で現地を見て現地の人と話し空気を感じることです。私自身も、2016年の初めてのベトナム訪問時に、現地の高度経済成長を肌で体感したことがきっかけとなって、ベトナムでチャレンジすることの価値を見出しました。海外現地情報や人的つながりなど、ジェトロのサポートも受けられますから、これから海外展開を考えている方には、そうしたサポートを受けつつ何度も現地を行き来することをお勧めします。

専門家からのポイント

早川社長は北海道という限られた市場での競争よりも海外に目を向け、成長著しいベトナム市場を選択される、戦略的な発想を持たれた方です。現地事前調査では飲食店やスーパーなど多方面を訪問したところ、まだ「北海道ブランド」が形成の余地があることが分かり、北海道産品にフォーカスした輸入・卸事業を第一ステップとして展開されました。また早い時期に体制充実のためベトナム人を採用し本社で研修・教育して、現在その方は現地で活発に活動されています。海外事業には人材が大事という考え方と現場思考で臨機応変な対応の重要性を一緒に学びました。

ご利用いただいたジェトロのサービス

新輸出大国コンソーシアム
日本企業の海外展開を支援する全国のあらゆる支援機関が結集し、海外展開にご関心をお持ちの中堅・中小企業の皆様へワンストップの支援サービスを提供します。