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株式会社ソルエース

外国企業との商談は時間がかかる。短期的成果を求めず、継続することが大事

排水処理装置を世界各国に販売。展示・商談会での出会いを大切に、社長自ら現場に赴いてのトップセールスを実施。ジェトロ専門家とともに、外国企業との多くの商談を経験したことで商談力をつけ、韓国での大型受注を獲得

香川県高松市ウェブサイト

展開国・地域：: 2014年カナダ、チリ、モンゴル
2016年マレーシア
2017年米国、タイ
2018年オーストラリア
2019年韓国
事業内容：: 排水処理装置製造販売他

代表取締役増田洋泰氏

メンテナンス不要を売りに、海外需要を開拓中

欧州展示会（IFAT）2014でのプレゼンテーション

弊社は、食品工場や下水処理場などで使われている排水処理用の装置を製造・販売しています。弊社の開発したエアレーター「空海」は、特許を取得した内部形状が特徴的で、五角形の筒内で汚泥とエアーを攪拌し、排水の浄化を促進します。高い攪拌力、耐用年数が強みです。エアレーターは、定期的なメンテナンスをしないと酸素溶解度が落ちてしまうのですが、弊社製品にはそれがありません。初期費用はかかりますが、5年間のランニングコストを比べれば中国企業などが製造する低価格品に負けません。ただ、そのようなことが分かったのも、海外市場に目を向けてからです。海外展開を開始したのは2013年、国内販売に行き詰まりを感じていた時期でした。海外市場開拓の方針は前社長（現会長）が打ち出しましたが、日本国内の展示会でもブース来場者の中に外国人の姿を見かけるようになっていましたので、ちょうど良いタイミングだったのかもしれません。

ジェトロの専門家とともに世界を回る

まずはジェトロにコンタクトを取り、ジェトロ大阪本部が環境分野の海外バイヤーを招へいすると聞き、商談会に参加しました。2014年4月には、来日企業の1社であったカナダ企業から受注し、初めての海外企業向け輸出となりました。その後、海外展示会を活用した販路開拓のため、ジェトロの専門家支援を受けることになりました。まずは2014年5月にはドイツで開催された水処理分野の展示会「IFAT2014」に参加しましたが、来場者の反応がよく手応えを感じました。こうした展示会・商談会に参加し、積極的に顧客を探す中、近隣のアジア諸国の他、チリやモンゴルといった国からの受注にもつながりました。2016年4月に「新輸出大国コンソーシアム」の支援案件に採択後も一貫して専門家には、基本的に横に座っていてもらい、専門用語が分からない時など、必要な時に助け船を出してもらいました。英語がそれほど得意ではないので、安心感がありました。秘密保持契約や販売契約など案件ごとに締結すべき契約について教えてもらったのも助かりました。今では自信もつき、自分一人で海外営業を行っています。

Aquatech Amsterdam 2015のブース

エアレーター「空海」

韓国向け大型案件を受注

2016年7月「シンガポール水ウィーク展示会」ジャパンパビリオンでは、米国やベトナムにも支店を持つ、韓国の水分野エンジニアリング企業に関心を持ってもらいました。釜山市における新たな下水処理場への納入設備に関する入札案件があり、同社は提案の一つとして「空海」を盛り込みたいというありがたいものでした。専門家の助言を受けつつ、価格や納入時期などがまとまりました。その後、全体の工期が遅れ、担当者とのやり取りも滞りがちになる中で不安になり、社長に会いにソウルまで行ったこともありましたが、2019年6月末までに納品を完了させることができ、一安心をしているところです。今後設置の立ち会いに行く予定ですが、国内を含め、一度に76台も納入するというのは初めてです。貴重な事例になりますので、韓国で写真を撮ってPR材料にしようと考えています。

専門家からのポイント

ソルエースが「性能・品質は高いが価格も高い」という日本の機械製品が持つ難点を克服して、輸出ビジネスに成功した要因は、増田社長の人柄とフットワークの良さで世界中に多くの友人を作り、海外代理店ネットワークを構築できたことです。ジェトロがジャパンパビリオンを設けた展示会に積極的に参加されたことも成功の要因の一つだと思います。専門家からは、製品販売価格の説明には、同社製品「空海」のライフサイクルコストで競合品と比較すれば、同社製品の方が圧倒的に有利との点を積極的にPRするよう助言させていただきました。