閉じる

株式会社ニューハレックス

国内しか見ていなかったのは海外を知らなかったから。ジェトロが可能性を広げてくれました

2018年8月、香港のアウトドアスポーツ用品販売会社と販売特約店契約を締結。同年9月、香港のボルダリングジム運営会社からも受注があり、納入済み

静岡県磐田市ウェブサイト

展開国・地域：: 2018年香港
事業内容：: 粘着性伸縮包帯の販売

代表取締役社長芥田晃志氏

生き残りをかけ、国内での新規ルート開拓へ

私が生まれた1974年に、父が「株式会社アクタ」を創業し、医療機関向けにキネシオロジーテープ（粘着性伸縮包帯）を開発しました。商品の体験モニターは肌が弱い赤ちゃん。つまり0歳の私のおなかにテープを貼り、かぶれないことが実証されると、皮膚科の先生方からも太鼓判をいただき、販売を始めたと聞いています。その後、テープの種類も増えたので、商標登録をしてブランド化をする運びとなり、もともとの商品名が「ニューハレックス」で、取引先から「ニューハレ」の愛称で親しまれていたこともあり、「New-HALE®」に決まりました。「ハレ」の英語表記を「HARE」ではなく「HALE」にしたのは父の感覚だったのですが、「HALE」は英語だとヘイルと読み、「強靭な」という意味があったのです。これが私どもの商品コンセプトにもつながりますし、「新しく強靭になる」という海外でも意味が通用するブランド名となりました。そして、2007年から医療機関に限定せず、スポーツルートの開拓にも取り組み始めました。

香港に輸出している「ニューハレAKT」。カラー展開が豊富で、アパレルの工場で染色しているので色落ちしないのが特徴

「スムーズな支援」の一言に後押しされジェトロへ

スポーツルートの開拓を始めたのは、既存の医療ルートの販売がメーカー飽和で年々厳しくなっていったことが最大の理由でした。それを機に、2011年にコンシューマールート販社「株式会社ニューハレックス」を設立。スポーツルートに特化したプロモーションを始めました。商品力には絶対の自信があったので、まずは知ってもらうために全国を飛び回り、マラソンやトレイルランニングのレースに出展し、多くのランナーにテープを体感していただけるよう、プロモーションを続け地道にファンを増やしていきました。そして、2017年に「東京マラソンEXPO」に出展した際、アジア圏の方たちが「New-HALE®」に飛びつき、カラー展開の多さも手伝ってまとめ買いする姿を目の当たりにしました。それまで海外輸出は全く頭になかったのですが、輸出に詳しい知り合いに相談したら「ジェトロに相談したらスムーズだよ」と言われて、海外で挑戦してみたいという気持ちが芽生えました。そして2017年の夏、お付き合いのあった銀行の営業担当者を介して、ジェトロを紹介してもらいました。

欧州最大のトレイルランニング大会でのテーピング講習会の様子。選手たちに無料でテーピングを施し、地道に商品を広めた

海外向け商品のパッケージ。使い方は英語表記だが、一部に日本語表記を残す方が海外では受けがいい

「壁」をよけて海外へ向かえたのは的確な助言のおかげ

ジェトロでは「新輸出大国コンソーシアム」の専門家によるハンズオン支援を提案されました。コンシェルジュに紹介された専門家は香港に駐在経験があり、アジア圏での医療・健康関連にも精通していたので、電話会議を重ね、SWOT分析を通じて戦略を立てていきました。2017年秋リサーチのため香港を訪れ、以前から知り合いだった現地の方のリストをもとにターゲットを絞りました。国内に戻り専門家に相談したところ、アポイント取得のメールの書き方について助言を受け、2018年1月には商談のため再び香港へ向かいました。そして2018年8月アウトドア系スポーツ用品販売会社と契約を締結できました。英語を話せない私が、海外への挑戦を意外と簡単だと思えたのは、ジェトロが「壁」のよけ方を教えてくれたからです。数々のポイントで先読みしてもらった助言のおかげでスムーズに進めることができました。今後は国内外でテーピングの資格制度を整備して、商品とともに正しい使い方を広めていきたいと考えています。

専門家からのポイント

ニューハレックスはキネシオロジーテープの草分け企業で、高い国内シェアを持つのに対し、海外知名度はゼロに近い状態でした。皮切りの香港市場では外国競合製品が並ぶ中、ジェトロの助言・サービスを活用して販路を獲得されました。自社製品の差別化特性と社長自らによる販売店へのテーピング手法の教育を通じ、製販連携体制作りに成功しました。短期間に香港で同社ブランドを確立できたのは、販路開拓のみで営業活動を終了せず、販売店に対する技術指導など、販路確定後のアフターケアの充実も貢献しています。