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有限会社美乃幸

トラブルを乗り越えマレーシアへ出店。次なる一歩を踏み出します

2017年にジェトロのサポートを受けマレーシアで法人設立。大阪での精肉の小売・加工品の販売に加えて海外展開をスタートする。2019年3月にペナン島で精肉や加工品を販売する店舗をグランドオープン

大阪府大阪市ウェブサイト

展開国・地域：: 2017年マレーシア
事業内容：: 精肉の小売／肉加工品の製造販売

代表取締役厚浦宏司氏

日本の先行きを考え海外にも店舗を

マレーシアのペナン島に出店。赤い外観が目印

1944年に精肉店を出した祖父から父、そして私へと引き継ぎ、会社として設立したのは2003年です。海外展開を目指すきっかけは日本の景気悪化でした。特に大阪は景気が悪く、売上減を心配しました。さらに日本は自然災害が多い国で、この先、いつどこで災害が起こるかも分からない。自然災害などによる事業休止というリスクはなるべく避けたいと考えたためです。そこで、海外への出店を検討しました。東南アジア諸国を自分の目で見て、食肉市場を調べ、自然災害やテロの少ない、そしてハラールの規制で食肉流通のまだまだ少ないマレーシアに決めました。その後すぐにマレーシアに住む知り合いの日本人を通じて現地調査からスタートしました。最初は、自分のネットワークだけで進出できると思っていました。実際に、信頼できる現地の役員を採用し、契約で弁護士や司法書士が必要になった時も知り合いの紹介でスムーズに進みました。しかし、いざ現地法人設立を前にして不安が胸に広がり、ジェトロの「新輸出大国コンソーシアム」の支援を受けることにしました。

思いがけないトラブルもジェトロのアドバイスで解決へ

少しでもリスクを回避したかったので、マレーシアでの法人設立は外国資本100%を望んでいました。一般的に小売・販売業で外国資本100%の企業設立は難しいとされています。しかし、ジェトロの専門家がマレーシアの行政に確認してくれて、2017年に外国資本100%で法人設立にこぎ着けることができました。その後もジェトロに助けられた場面があります。1店舗目の出店の際に、テナントのオーナーとトラブルが発生したのです。口頭で確認していた条件を契約書に書いていなかったためでした。日本ではありえないようなトラブルです。オーナーとの話し合いにはジェトロの専門家が同席してくれて、マレーシア流の契約の仕方や話し合いの進め方などのアドバイスをもらいました。結果、オーナーと和解でき、最小限の費用と時間で、トラブルを収束させることに成功しました。その後、別のエリアに出店を決め、再スタートをしました。

冷蔵ショーケースには日本産やオーストラリア産などの精肉がキレイに並ぶ

現地店舗で雇用したマレーシア人のスタッフに肉の成形方法を教えている

マレーシアでの経験を活かし他業態での展開も見据える

海外初の店舗はペナン島で2018年5月にプレオープンし、日本からの担当者の就労ビザが取得された2019年3月にグランドオープンしました。今は店のPR方法が課題となっています。雑誌への広告掲載、SNSでの宣伝、バナー広告などを試しましたが、なかなか伝わらず、日本とは告知の仕方さえ違うのだと実感しています。ジェトロからアドバイスをもらいながら、さまざまな方法を実践していくつもりです。海外進出のメリットは、さらに他の地区や他国へ展開しやすくなることです。海外で法人設立や店舗オープンを経験したので、マレーシアでの多店舗展開はもちろん、他の国での出店も狙えます。日本国内の食品業界は、大手メーカーがシェアの大部分を占めています。私たちのような中小企業は厳しい競争にさらされています。海外展開は生き残る術でもあるのです。今後はハラールフードを扱う販売店や飲食店の経営を考えています。ジェトロのサポートを受けながら、クアラルンプールやペナン島でのさらなる開店を目指します。

専門家からのポイント

厚浦社長の熱い思いで、すき焼き、しゃぶしゃぶなど美味しいチルドのスライスを中心にペナンの方々に本当に美味しい牛肉、豚肉を提供するため、ノンハラールでかつ精肉小売り、外国資本100%での進出を目指しました。条件的には非常に難しい案件でした。最初からマレーシア投資開発庁（MIDA）に相談し、Specialty Storeでの投資の可能性の示唆を受けて、マレーシア国内取引・消費者省に相談しました。サポートいただいた行政書士、弁護士と連携して問題解決に対応でき、ペナンであれば、ノンハラール、外国資本100%の進出が可能とのお墨付きを早い段階でいただくことができました。