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ラボテック株式会社

科学者としての本分に徹し化学分析・計測・分析装置開発を通してあらゆる物象を解明し社会に、地球に貢献したい

分析装置の開発、製造、販売や環境分析、測定、調査などを行う。2018年9月に中国・大連に進出、現地生産も検討中

広島県広島市ウェブサイト

展開国・地域：: 2018年中国
事業内容：: 分析装置開発、製造、販売。環境分析、測定、調査など

代表取締役社長吉川惠氏

人口世界一の巨大市場で需要を探る

化学的酸素要求量（COD）と生物化学的酸素要求量（BOD）を自動測定し、水中の有機物の量で汚れを測定する装置の製造・開発に強みを持つ弊社は、国内では高いシェアを有していました。特にBOD分析は国内随一、環境分析センターに持ち込まれて実施される同分析の約8割は、弊社装置で行われています。しかし国内市場は頭打ち、販売量も停滞する中で、新規市場の開拓が重要な経営課題となりました。ところで伯父でもあった弊社役員が海外市場の重要性を説き、海外市場を何となく意識し始めたのは約15年前までさかのぼります。ただすぐ海外展開に取り組んだ訳ではありませんでした。企業のグローバル化に熱心な湯﨑広島県知事によって、2012年に広島県環境ビジネス協議会が設立され、これに参加したことを機に、海外ビジネスが動き始めます。中国に市場としての魅力を感じ始めていたころ、広島県と四川省が友好提携を結んでいたこともあり、それまで培った中国ネットワークも活用しながら、中国西南地域での製品販売に取り組み始めました。

四川省環境モニタリングセンターへ、自動COD測定装置を贈呈

中国人社員の採用がビジネスを加速

ほぼ時を同じくして海外経験が豊富な役員が入社、そして募集していた社員枠に偶然中国人が応募、採用に至りました。タイミング良くこうした良縁に恵まれたことで、中国ビジネスが進み始めます。一方、中国でも急速な経済発展に伴い、厳しい環境規制が導入され始めました。この一環として排水基準が厳格化、正確な排水分析に対するニーズが高まっています。こうした中国の市場・動向調査を行う上で、中国人社員がその力を存分に発揮してくれたと思います。加えて、良きパートナーに出会えたことも重要でした。日本の親しい会社の社長を通じて知り合った現パートナーは、人間関係を維持しつつ、ビジネスの基本的な方向性や考え方も共有できる人物であり、長期的に付き合っていけると確信しています。ビジネスを進める上で、信頼関係が基礎であることは言うまでもありません。

莱波特克（大連）科技有限公司を設立（2018年9月）

中国事業は中国人社員（右）が中心的役割を果たしている

ジェトロのサポートで根気強く前進

とは言いましても、話がトントン拍子に進んだ訳ではありませんでした。社内の関係部門にもいろいろな意見があり、物事が停滞した時期もありました。こうした中で、2016年7月からジェトロ「新輸出大国コンソーシアム」の専門家に入ってもらい、徹底的な本音の議論を行えたことが成果実現の大きな要因だったと考えています。専門家とはほぼ毎月、定期的に面談をしました。議論の度に課題を洗い出し、次の会合までにどのような対策を行うか、ステップを踏んで検討していきました。社内の者では気付かない、客観的な助言なども受けながら一歩一歩前に進めたことが良かったと思います。本格的な中国市場参入に先立ち、自動COD測定装置1台を四川省の分析機関に寄贈し、その後の自動BOD測定装置の輸出へとつながりました。ここで性能をアピールしつつ評価が得られれば、将来的には2018年9月に大連で設立した現地法人を中心に、中国各地での販売促進や生産の委託にもつなげていきたいと考えています。

ジェトロ広島からのポイント

成功の要因は、何といっても経営者の強い意志と、人を信頼する懐の深さです。温顔で優しい語り口の吉川社長ですが、中国市場開拓に当たっては不退転の意志をうちに秘められていました。部下の言葉を信じ、専門家の提言に耳を傾け、議論百出した後には忍耐強く収れんを図る指導力と包容力。異国の相手を信頼するために納得できるまで面談を重ねる行動力と交渉力。一旦確信を得た後はブレることなくまい進する決断力と突進力。これらがいろいろな場面で発揮され、会社が大きく動きました。本件は経営者の人間力が事業を成功させる実例です。