株式会社鹿児島放送

KKB鹿児島放送は県内で3番目に開局した地元のネタを地元に放送するローカル局です。2016年3月に「鹿児島から海外に。鹿児島の魅力を発信する」をモットーにコンテンツ事業部が新設されました。人口減少や視聴者数の減少など鹿児島県を取り巻く環境も考え、海外へ発信をしたい自治体や県内企業と一緒になって、コンテンツを海外に売っていくことを目指すことになりました。北海道では、HTB北海道テレビ放送の海外向け情報発信番組「LOVE HOKKAIDO」がキッカケとなって、タイとの直行便が誘致され、インバウンドの増加につながった事例も参考にしながら、KKBで制作した番組を海外に売ろう、そのために国際見本市に出展しようということになりました。しかし、今までそういうことをやったことがなく、総務省の海外支援事業担当者やジェトロと相談しながら試行錯誤をしました。2017年3月にアジア最大そして世界3大映像マーケットである香港フィルマート2017への初参加を果たしました。

香港フィルマート2017ではジェトロとUNIJAPANが提供するジャパンブースに出展し、KKBが制作したドキュメンタリー「自然遺産登録を目指す島 奄美 ～森と海と人の物語～」や「Spirits of Spirit～Satsuma Whisky に挑む男たち～」などをインフライトコンテンツとして航空会社などに売り込みました。「新輸出大国コンソーシアム」の専門家には、展示会期間中にアプローチすべきエージェントやネットワークづくりにつながるイベントへの参加など、いかに効率的かつ予算を掛けずにプロモーションできるかのアドバイスを受けたほか、英文契約書の内容や相手企業の信用度の確認方法なども相談しました。海外の展示会は香港フィルマート2018とシンガポールのATF2018にも参加しました。キャセイパシフィック航空やカンタス航空、ユナイテッド航空、香港航空などのエージェントと成約し、KKBのドキュメンタリー番組が放映され、鹿児島県のプロモーションにつながっています。自治体との取り組みでは2017年11月実施の「南鹿児島料理教室in香港」がまず挙げられます。

指宿市、枕崎市、南さつま市、南九州市および南大隅町の4市1町からなる「県南部広域観光物流実行委員会」に対して、KKBからは5つの市町の食材を一品ずつ出して「鹿児島」をキーワードに香港で料理教室の開催を提案しました。さらに5品の食材を5分で紹介する英語と中国語の字幕付きハイビジョン映像を制作して、料理教室の間中に流すことも企画に盛り込みました。1カ月間実施した「南鹿児島料理教室in香港」には延べ1,470名が参加し、香港のスーパーで県産品の購買が拡大したのみならず、2018年1月の「香港からの食の体験ツアー」へとインバウンドまでつなげられた好例として、全国の自治体から高い評価をいただいています。2019年1月にタイの有名ブロガーを招待したFAMツアーなど新たな試みも行っています。この3年間の経験を踏まえ、地元地域と一体となった取り組みが重要であることを改めて感じています。アジアに一番近いテレビ局を自任して、引き続き挑戦していきたいです。

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