3月の輸出額は前年同月比2.5%減、衣料品輸出が低調傾向に

(バングラデシュ)

ダッカ発

2023年04月13日

バングラデシュ輸出振興庁(EPB)が4月に発表した輸出統計外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますによると、2022/2023年度(2022年7月~2023年6月)中の2022年7月~2023年3月の輸出額は417億2,162万ドルで、前年同期比8.1%増だった。その中で約85%を占める衣料品の輸出額は352億5,244万ドルで12.2%増だった。内訳は、ニット類が11.8%増の191億3,748万ドル、布帛(ふはく)類が12.6%増の161億1,496万ドルだった。一方で、「農産物(HSコード第4類~24類)」(28.3%減)、「ジュートおよび同製品(HSコード第53類、および63類の一部)」(21.2%減)、「冷凍・生鮮の海産物(HSコード第1類~3類)」(20.5%減)など、前年同期比で大きく減少している品目もみられ、政府の定める同期間の輸出額目標値(422億6,400万ドル)に対してマイナス1.3%となった。

単月でみると、2023年3月の輸出総額は46億4,394万ドル(前年同月比2.5%減)だった。2022/2023年度の輸出額は2022年9月と10月に前年同月比でマイナスに転じ、また、輸出を牽引する衣料品の増加率は低下傾向にあったが(2023年2月27日記事参照)、ニット類は20億7,715万ドル(同1.3%増)、布帛類は18億1,340億ドル(同3.6%減)と、3月はいずれも低調だった(添付資料表参照)。衣料品は欧米市場のインフレなどによる購買需要の低迷により、統計は公開されていないものの、輸出量の減少傾向もみられ、輸出の低迷は向こう数カ月間続くとの見方も報じられている(「フィナンシャル・エクスプレス」紙4月3日)。

ダッカ日本商工会の竹内幸太郎繊維部会長(日華化学ダッカ事務所長、2022年3月14日付地域・分析レポート参照)はジェトロのインタビューに対し、「仕向け先の在庫過多もあり、輸出の低迷からなかなか抜け出せない状況ではあるが、2023年7月前後に輸出するアパレル受注は回復し始めたと話す工場も多い。その裏付けとして、当社の繊維加工薬剤の受注は3月から回復基調にある。薬剤は海外拠点からの輸出品のため、そのリードタイムと生地の染色や縫製に要する期間を考えると、ちょうど7月前後の商品出荷となり、つじつまが合う。また、輸出量の減少は、アパレル製品の平均FOB(注)単価が上がった、つまりは、従来の綿100%の定番品メインの安価品の生産から、高付加価値品へのシフトが始まった証拠でもあるとのポジティブな見方もできる。欧米をはじめとするアパレル各社の脱中国依存の動きを見据え、合成繊維を当地で生産するなどの設備投資が国全体で40億~50億ドル規模で進んでいるとも報じられている。今後、欧米以外のアパレルを含め、いかに中国から流入するオーダーを勝ち取れる受け皿を作れるかが、当地アパレル産業の成長の分かれ道になると考える」と話す(4月11日)。

(注)Free on Board、本船渡。

(山田和則)

(バングラデシュ)

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