緩やかに景気回復、個人消費が牽引−2014年の経済見通し−

(フランス)

パリ事務所

2014年01月08日

政府は2014年の実質GDP成長率を0.9%と予測する。GDPのほぼ6割を占める個人消費が景気を牽引、輸出も米国やドイツ向けを中心に持ち直しが期待される。企業の設備投資は法人税減税措置の適用が本格化するも、根強い先行き不透明感から大幅な伸びにはつながらず、景気の本格的回復は2015年以降に持ち越される見通し。

<消費者物価は安定>
個人消費は2014年に0.9%増と、2013年(0.3%増)よりも伸びを強めると予測される。2014年1月に付加価値税(VAT)率が19.6%から20.0%(軽減税率は7.0%から10.0%)に引き上げられるものの、消費者物価上昇率はユーロ高による輸入価格の低下などから1.3%と安定的に推移し、家計購買力の伸び(0.8%増)を支える見込みだ。

2014年から賃金総額に関わる法人税減税措置の適用が本格化することで(2013年1月15日記事参照) 、政府は企業設備投資の伸びを1.5%増と予測する。しかし、製造業の設備稼働率が歴史的に低い水準で推移していることや、経営者の業況感に大幅な改善がみられないことなどから、急激な伸びは期待できないとの見方が多い。

政府支出の伸びは歳出削減措置の導入を受け抑制される。とりわけ公共投資は2014年予算法に組み込まれたインフラ投資計画の一部見直しなどから5.2%減少する(2013年は2.5%増)。

<依然厳しい雇用情勢>
2014年の外需は、輸出はほぼ5割を占めるユーロ圏のほか米国の景気回復を受けて3.5%増える一方、個人消費の持ち直しで輸入も3.0%増加する。

景気は内需を軸に回復するものの、失業率は10%を超える水準で高止まりする見通し。中小企業を中心に企業倒産件数が前年に続き6万件を超えると予測されるほか、収益改善に向けた雇用調整の動きも続くとみられる。雇用情勢の改善は景気回復が本格化する2015年以降に持ち越される。

主要経済指標

(山崎あき)

(フランス)

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