ECB、政策金利を3回連続で0.75%に据え置き

(ユーロ圏、欧州)

デュッセルドルフ事務所

2012年10月05日

欧州中央銀行(ECB)は10月4日、リュブリャナ(スロベニア)で開催した政策理事会で、政策金利(主要リファイナンス・オペ金利)を3回連続で0.75%に据え置いた。

<ドラギ総裁がOMTの効果を評価>
政策理事会は、政策金利、限界貸付ファシリティー金利〔オーバーナイト貸し出し(翌日返済)の金利〕、預金ファシリティー金利〔オーバーナイト預け入れ(翌日満期)の金利〕をそれぞれ0.75%、1.5%、0.0%のまま据え置いた。

ECBのドラギ総裁は前回理事会で 流通市場で大量に国債を購入するプログラム「アウトライト・マネタリー・トランザクション(OMT)」を実施すると発表した(2012年9月7日記事参照)。OMTの効果に関し同総裁は、今回の政策理事会後の記者会見で、「ユーロ圏各国の金融市場の動揺と信用不安があるため、ユーロ圏の経済成長は低水準にとどまる見込みだ。ここ数週間、OMTはユーロ圏の一部の市場における緊張を和らげてきた。各政府は財政・構造的不均衡の軽減へ向けた必要な対策を講じ続けることが不可欠だ」と語った。

ドラギ総裁はさらに、欧州委員会が9月12日に提案した単一監督メカニズム(SSM)を歓迎した(2012年9月13日記事参照)。「政策理事会はSSMを金融同盟の支柱の1つで、本格的な経済・財政同盟のための重要な積み石(building block)の1つとして捉えている」と述べた。

<8月のインフレ率は2.7%と上昇傾向続く>
主にエネルギー価格の再上昇によって、ユーロ圏の消費者物価上昇率は9月(速報値、PDF)に2.7%と前月に比べ0.1ポイント上昇した。ECBが掲げた物価安定の目標値の2%を22ヵ月連続で上回っている。中期的な動向に関し、ドラギ総裁は「インフレ率は原油価格の高騰により予測より高いが、2013年中には、また2%を下回るだろう」とした。

通貨供給量は、2012年8月のM3が前年同月比2.9%と前月の3.6%から急落した。民間向け貸し出しが前月のマイナス0.4%からマイナス0.6%に低下した。

(ゼバスティアン・シュミット)

(ユーロ圏)

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