サンフランシスコなど米国主要3都市でアマゾンへの抗議デモが同時発生

(米国)

サンフランシスコ発

2019年07月25日

サンフランシスコ中心部のアマゾンの施設「AWS Loft」(注)が入居するビル前で7月15日午後、アマゾンに米国移民・関税執行局(ICE)などとの関係を断つことなどを求めるデモが発生した。この日は、アマゾンプライム会員向けに年に1度行われるディスカウントセール「アマゾンプライムデー」の初日だった。

デモを主催したのは、非営利団体のベイ・レジスタンス(Bay Resistance)、ジョブズ・ウィズ・ジャスティス・サンフランシスコ(Jobs with Justice San Francisco)、サンフランシスコ・ライジング(San Francisco Rising Alliance)の3団体。ベイ・レジスタンスのフェイスブックによると、「私たちはアマゾンにICEや米国税関・警備局(CBP)との関係を終わらせることを要求する。アマゾンは地方の法執行機関やICE施設へ同社の顔認識技術Amazon Rekognitionを宣伝し、不法滞在の移民を対象に、ほとんど規制されていない産業にこの技術の使用を促進している」としている。デモでは、「全米で27万人の署名を集めた。移民に対して脅威になる技術を売るのをやめよ」などと主張していた。報道によると、同日にはほかに、シアトルのアマゾン本社前、ニューヨークのジェフ・ベゾス同社CEO(最高経営責任者)のアパート前でも同様のデモが発生した。

アマゾンウェブサービスのスポークスマンがメディアに発表した声明によると、「私たちは何度も述べてきたように、また固く信じ続けているように、企業や政府組織は既存の技術や新しい技術を合法的に使用する責任がある。AI(人工知能)の使用が許容される範囲や誤使用による影響について、政府は明確にする必要がある。私たちは政府へルールや影響の明確化と立法化を要望し、今後もアイデアや提案を提供し続けたい」と発表した。

なお、5月22日に開かれたアマゾンの株主総会で、同社の顔認識技術を政府機関に販売しないよう要求する提案についての投票が行われたが、否決されている。

サンフランシスコでは、同市議会で市当局による顔認証監視技術の利用を禁止する条例案が可決されるなど、同技術を規制する動きが起こっている(2019年6月6日記事参照)。

写真 アマゾンの施設が入るビルの前を取り囲むデモ参加者(ジェトロ撮影)

アマゾンの施設が入るビルの前を取り囲むデモ参加者(ジェトロ撮影)

写真 顔認識技術を人種差別の主要な例だと主張するデモプラカード(ジェトロ撮影)

顔認識技術を人種差別の主要な例だと主張するデモプラカード(ジェトロ撮影)

(注)アマゾンウェブサービス(AWS)を利用するスタートアップやデベロッパー向けにアマゾンが提供するコワーキングスペースやイベント施設。現在、サンフランシスコ、ニューヨーク、東京、ヨハネスブルク、テルアビブに所在。

(石橋裕貴)

(米国)

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