コヒアが最大70億カナダ・ドルの資金調達、カナダ政府も出資、ソブリン(主権)AI構築を加速

(カナダ、ドイツ、米国)

調査部米州課

2026年11月06日

カナダの生成人工知能(AI)開発企業コヒアは10月29日、最大70億カナダ・ドル(約7,910億円、Cドル、1Cドル=約113円)を資金調達目標とするシリーズEラウンド(注)について、第一段階の資金調達(ファーストクローズ)の完了を発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。ドイツ小売り大手シュバルツ・グループを筆頭に、ベル・ベンチャーズ、ブルハウンド・キャピタル、イノビア・キャピタル、エヌビディア、プロスペリティ7に加え、カナダ政府も同ラウンドに参加する(首相府発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。

2019年にトロントで設立されたコヒアは、企業や政府機関向け大規模言語モデル(LLM)などのAIシステムを開発する。同社の技術は、機密データの保存場所や利用方法、アクセス権限を利用者側で管理できる点を特徴としており、企業や政府機関によるセキュリティーやプライバシーに配慮したAIの導入を支援する。同社は2024年7月、日本語に特化したLLMの開発に向けて富士通と戦略的パートナーシップを締結している(2024年7月23日記事参照)。

カナダ政府は、自国でAIを開発・運用し、データや技術を自国の管理下に置く「ソブリン(主権)AI」の構築を後押ししており、同社の研究開発や事業拡大を支援する。具体的には、カナダ政府は、同社が実施するシリーズEラウンドにおいて最大16億Cドルを株式出資する方針を表明した。その条件として、(1)2030年までにカナダ国内で少なくとも1,000人の技術職を雇用すること、(2)AIの計算基盤に17億Cドル以上を追加投資すること、(3)カナダ法人と国内本社を維持すること、(4)国内の大学・研究機関との連携や学生・新卒者への機会提供を進めること、(5)カナダAI安全研究所との協力を継続することを、同社と合意した。

マーク・カーニー首相は同発表に関する記者会見で、同日発表した国家安全保障戦略(2026年11月4日記事参照)が重視する「カナダの主権」に言及し、「カナダ国民が利用しやすく、安全で、主権性を確保したAIを国内で構築するために、コヒアに投資する」と述べた。

(注)企業の成長段階に応じて実施される大型の追加資金調達。

(木村勇翔)

(カナダ、ドイツ、米国)

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