英政府、農業・食品関連産業に対する施策を盛り込んだ秋季予算案を発表

(英国)

ロンドン発

2026年11月02日

英国政府が2026年10月28日に発表した秋季予算案外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますでは、農業・食品関連産業に対し、生産コストの抑制や事業環境の改善を目的とした施策が盛り込まれた。

農業分野では、農業機械向け燃料として使用される赤ディーゼル(Red Diesel)の減税措置を2027年7月1日まで延長する。赤ディーゼル税率は1リットル当たり10.18ペンス〔1ペンス=0.01ポンド(約2円、1ポンド=約211円)〕から6.48ペンスへ引き下げられており、政府は20年以上で最低水準の税率を維持するとしている。さらに、肥料に対する関税停止措置を2027年末まで維持する。

食品製造業向けには、2027年4月から「British Industrial Competitiveness Scheme(BICS)」を導入する。同制度では、エネルギー多消費型製造業約1万社を対象に電力料金を20~25%割り引くとしており、食品加工業や飲料メーカーの競争力向上が期待される。さらに、対象設備に対する初年度投資控除率(First-Year Allowance)を40%から50%へ引き上げ、食品工場や物流施設、農家が導入するトラクターや収穫機などの農業機械への投資を後押しする。

食品輸入業者や卸売業者向けなどには、2028年末まで135品目の食品に対する関税停止措置を維持するほか、野菜、ソース類、チョコレートなどを含む食品の追加の関税停止措置を実施する。

外食・小売り分野では、事業税(Business Rates)支援を強化する。小売り・外食・レジャー施設向けの小規模事業者減税について、全額免除の対象となる評価額(Rateable Value)を1万2,000ポンドから1万8,000ポンドへ、段階的軽減の対象上限を1万5,000ポンドから2万1,000ポンドへ引き上げる。小売り・外食・レジャー施設の事業税請求額については、2027/2028年度および2028/2029年度において増加率を消費者物価指数(CPI)以下に抑え、2029年3月末まで実質的に据え置く。さらに、パブやライブミュージック会場向けの事業税軽減率を15%から35%へ引き上げる。また、オンライン販売分野では、オンライン販売事業者の納税適正化を進めるため、オンラインマーケットプレイスに対する付加価値税(VAT)の徴収・納付義務を強化する。

一方、人件費に関しては、2027年4月から21歳以上を対象とする全国生活賃金(National Living Wage)を時給12.71ポンドから13.21ポンドへ3.9%引き上げる。食品製造業、外食業、小売業などの労働集約型産業では人件費負担の増加が見込まれる。

(大西勇佑)

(英国)

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