バングラデシュ縫製業界で賃上げ要求の抗議活動拡大、政府は最低賃金委員会を設置

(バングラデシュ)

ダッカ発

2026年11月04日

バングラデシュの縫製業界で、労働者による賃上げ要求の抗議活動が拡大している。労働者は現行の月額最低賃金1万2,500タカ(約1万6,250円、1タカ=約1.3円)を3万タカに引き上げるよう求めており、10月14日以降、ダッカのウットラやミルプール、ガジプール、サバール、アシュリアなどの主要工業地域で道路封鎖や工場の操業停止が発生している。11月1日には警察との衝突や放火、工場施設への襲撃も発生した。BGMEA(バングラデシュ縫製品製造・輸出業者協会)によると、同日、5つの工業地域で計529工場の操業に支障が生じ、約98万7,000人の労働者が職場を離れた。

労働者側は、食料品や住居費、交通費などの上昇による生活費負担の増加を訴えている。労働組合の「インダストリオール・バングラデシュ評議会(IndustriALL Bangladesh Council)」は10月26日、月額最低賃金を3万2,085タカに引き上げるよう要求した。一方、BGMEAとBKMEA(バングラデシュニットウエア製造・輸出業者協会)は、労働者の生活改善の必要性を認め、政府による最低賃金委員会の設置を歓迎した。ただし、世界経済の減速やエネルギー危機、生産コストの上昇、輸出受注の減少などを背景に業界の経営環境も厳しさを増しているとして、適正な賃金と産業競争力の両立を求めている。

政府は11月1日、労働・雇用省を通じて6人からなる最低賃金委員会を設置した。同委員会は労働者側、経営者側および中立委員で構成され、新たな賃金体系の検討を進める。アリフル・ホック・チョードリー労働・雇用相は、労働者に対し抗議活動を終了して職場に復帰するよう呼びかけた。また、タリク・ラフマン首相は関係閣僚らとの緊急会議を開き、工場の操業維持と治安確保に向けて関係機関に警戒を指示した。

CPD(政策対話センター)のファーミダ・カトゥン特別研究員は、「政府は労働者が街頭で抗議活動を始める前に、物価上昇に応じた賃金見直しを主体的に進めるべきだった」と指摘した。また、賃上げを持続可能なものとするためには、エネルギーの安定供給や事業コストの削減、行政手続きの効率化を通じたビジネス環境の改善も必要との見解を示した(「ザ・ビジネス・スタンダード」紙11月2日付)。

縫製業は約400万人を雇用し、バングラデシュの輸出収入の8割以上を占める基幹産業だ。今後、最低賃金委員会での協議の進展や抗議活動の収束に加え、工場の操業、輸出納期およびサプライチェーンへの影響を注視する必要がある。

(片岡一生)

(バングラデシュ)

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