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チリ失業率は9.8%へ上昇、女性雇用の回復の遅れと正規雇用の減少が課題
(チリ)
サンティアゴ発
2026年11月02日
チリの労働市場の悪化が一段と鮮明となっている。国立統計局(INE)が10月29日に発表した全国雇用調査によると、2026年7~9月期の失業率は9.8%となり、前年同期比で1.3ポイント上昇した。失業率が9%を超えるのは6四半期連続で、2021年以来の高水準を記録した。失業者数は100万7,976人に達し、約6年ぶりに失業者が100万人を超えた。
今回の失業率上昇の主な要因は、労働力人口の増加に対して雇用創出が追い付かなかったことにある。労働力人口が前年同期比0.3%増加した一方で、就業者数は1.1%減少した。失業者数は15.3%増加し、解雇による失業者の増加に加え、新たに求職活動をはじめた人の増加も失業率を押し上げた。業種別では、製造業(前年同期比8.1%減)、情報通信業(20.8%減)、金融・保険業(14.1%減)で雇用減少が目立った。また、正規雇用率は2.5ポイント減少した一方、インフォーマル雇用率は26.4%に上昇し、労働市場の質の低下も懸念されている。
属性別にみると、女性の失業率は10.5%と男性の9.3%を上回った。女性の失業者数は前年同期比16.7%増加しており、女性の雇用回復の遅れが引き続き課題となっている。また、首都圏州の失業率は10.4%に達し、前年同期比で1.6ポイント上昇と厳しい状況が続いている。
こうした状況を受け、ホセ・アントニオ・カスト大統領は失業問題を「国家として抱える最大の痛み」と表現し、「チリ・デスペガ(Chile Despega)」(注)をはじめとする雇用創出策を進める方針を示した。カスト大統領は、雇用創出の主体は民間企業であると強調し、投資案件の承認迅速化や規制手続きの改善による経済活性化を訴えた。
トマス・ラウ労働相も今回の結果について「良い数字ではなく、軽視するつもりはない」と述べ、失業問題を国家的課題と位置付けた。同相は、国家復興法や「チリ・デスペガ」計画による投資促進に加え、時間単位契約制度の導入や労働時間制度の柔軟化、保育支援拡充などを通じて雇用機会の拡大を図る考えを示した。今後、これらの施策が景気回復や投資拡大につながり、雇用情勢の改善に結び付くかが注目される。
(注)チリ政府が9月28日に発表した、雇用創出と景気活性化に向けた経済対策。公共インフラ投資の加速、雇用補助金の拡充、企業の資金繰り支援、地方での事業実施強化を柱とし、経済活動の活性化と雇用回復を目指している。
(橋爪優太)
(チリ)
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