ビジネス短信は70カ所を超えるジェトロ海外事務所の駐在員から送られる国際ビジネス関連ニュースです。
過去記事一覧
ジェトロ・メンバーズ向け
その他コンテンツ
国・地域別記事一覧
テーマ別記事一覧
産業別記事一覧
米FTC、個別価格設定の実態調査でウォルマートなど9社に業務記録提出を命令
(米国)
ニューヨーク発
2026年11月02日
米国連邦取引委員会(FTC)は10月28日、小売り大手のウォルマートやターゲット、配車・配達大手のウーバー、リフト、主要航空会社など計9社(注1)に対し、消費者の個人データを用いた不透明な「個別価格設定(パーソナライズド・プライシング)」や「報酬設定」に関する詳細な業務記録の提出命令を発した
。
本調査では販売価格のみならず、ギグワーカー(注2)への報酬設定の仕組みも精査する。これらの配車・配達企業は、スマートフォンの利用履歴や過去の業務の受諾履歴に基づき、変動的な報酬を提示している可能性があるためだ。FTCのアンドリュー・ファーガソン委員長は同日の声明で、「消費者は自身のウェブサイトの閲覧習慣などが、請求できる最大価格の予測に使用されているかを知る権利がある。労働者も個人のデータによって、報酬が左右されているかを知るべきだ」と述べ、価格設定の透明化を強く求めた。
これに対し、対象企業は相次いで反論している。特にウォルマートは、全米の店舗への電子値札導入に伴い、「ダイナミック・プライシング(注3)」によって価格をつり上げることへの懸念や批判が消費者から浮上したため、先んじて火消しの声明を発表していた。同社のジョン・ファーナー最高経営責任者(CEO)は声明(10月5日)で、電子値札は業務効率化のためであり、顧客を特定し、価格を設定することはないと明言し、疑惑を否定していた。
他の対象企業も同様の姿勢だ。食品宅配大手インスタカートは、配達員への報酬は移動距離や品目数、予想買い物時間などの業務基準のみに基づいており、消費者の個人情報を価格設定に利用することはないと主張(AP通信 10月28日)。デルタ航空も「個人データに基づき個別に価格を設定するような運賃体系は、過去に使用したことも、今後使用する計画もない」とした。ターゲットや格安航空会社(LCC)のジェットブルーなども、個人データなどに基づいた個別価格設定は行っていないと説明している(AP通信10月28日)。
本調査はFTC法6条(b)に基づくもので、対象企業は45日以内の回答が義務付けられている。FTCは2024年にも同様の調査を行ったが、当時は仲介コンサル会社のみが対象で実態を把握できなかったため、今回は価格を決定する企業から直接情報を収集する方針に転換した。ドナルド・トランプ大統領の下、FTCは不透明なアルゴリズムや隠れた手数料で消費者や労働者を惑わす企業への追及を強めるとしている。
(注1)調査対象企業は、ウォルマート、ターゲット、ウーバー、リフト、ドアダッシュ、インスタカート、デルタ航空、ユナイテッド航空、ジェットブルー航空の計9社。
(注2)アプリやウェブサイトなどのプラットフォームを通じて、短時間・単発の仕事に従事する労働者。
(注3)需要と供給のバランスに応じて、サービス・商品の価格を変動的に設定する手法。
(樫葉さくら)
(米国)
ビジネス短信 5917d445152abef3





閉じる