エネルギー多消費事業者にISO50001認証を義務付け、省エネ管理規定を刷新
(メキシコ)
調査部米州課
2026年10月05日
メキシコの国家エネルギー効率利用委員会(CONUEE)は9月30日、エネルギー多消費パターン事業者(UPAC)の登録とエネルギーマネジメントシステムの導入に関する一般行政規定を官報で公布した。同規定は従来の省エネ管理規定を刷新するもので10月1日に発効し、2018年11月15日付官報で公布された旧規定は廃止された。
UPACに該当するのは、メキシコ国内の事業所で前年の電力消費量が45ギガワット時(GWh)を超えるか、輸送用途を除く燃料消費量が原油換算7万バレルを超える自然人または法人。電力基準は旧規定と同じだが、燃料基準は10万バレルから7万バレルへ引き下げられた。基準を超えた事業者は、UPAC登録簿
への登録が必要となる。
登録事業者は、毎年3月1日~5月31日までに、事業所ごとの月次エネルギー消費量、製品・サービス生産量、省エネ・脱炭素化措置とそのエネルギー・経済面での効果などを報告する。旧規定の報告期限は6月30日であったため、1カ月前倒しとなった。また、電力・燃料供給者なども供給量などの情報をCONUEEに提供する。
今回の規定で最も重要なのは、UPAC登録事業所に対し、国際規格ISO50001(注)に基づくエネルギーマネジメントシステムの導入・維持を義務付けた点だ。対象システムは事業所の総エネルギー消費量の80%以上をカバーし、エネルギー利用状況の分析、目標・指標の設定、改善計画、運用・保守管理、文書管理、事業所ごとの管理責任者の指名などが必要となる。
この義務の法的根拠は、2025年3月公布のエネルギー計画・転換法にある。同法第11条第15号は、CONUEEにUPACへの同システムの義務的導入を推進する権限を付与した。さらに、同年10月公布の同法施行規則第88条第5号は、ISO50001を少なくとも考慮したシステムの義務的導入要件を一般行政規定で定めるよう求めていた。今回の規定はこれを具体化し、既存UPAC登録者には2028年1月までに、国内で認定された認証機関によるISO50001認証の取得を義務付けた。CONUEEは2027年6月から導入状況の検証を開始し、検証訪問、情報・書類の提出要求などを行う。システムの未導入やCONUEEの要求への不対応は、行政制裁の対象となり得る。今後新たにUPACに登録する事業所は、登録から1暦年以内に認証を取得しなければならない。
鋳造、熱間鍛造、塗装乾燥、熱処理などを行う企業はエネルギー消費量の確認を
年間45GWhは、年間を通じて平均約5.1メガワットの電力を連続使用する規模に相当する。一方、原油換算7万バレルは、CONUEEの2026年換算係数によれば、平均的な天然ガスで年間約1,130万立方メートル、日平均約3万1,000立方メートルに相当する。完成車メーカーなどの大規模な製造拠点や、鋳造、熱間鍛造、塗装乾燥炉、熱処理炉、大型ボイラーなどを継続稼働させる工場が対象となり得る。日系企業は事業所単位で使用量を確認し、該当する可能性があれば、登録準備とISO50001認証への対応を早期に進める必要がある。
(注)ISO50001は、企業がエネルギーの使用状況を把握し、削減目標を設定して、対策の実施、効果の測定、見直しを継続的に行うための国際規格。
(中畑貴雄)
(メキシコ)
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