鉄道見本市「InnoTrans」開催、AI・デジタル化が主要テーマに
(ドイツ、EU、欧州)
ベルリン発
2026年10月05日
国際鉄道技術専門見本市「InnoTrans 2026
」が9月22~25日、ドイツ・ベルリンで開催された。30周年を迎えた今回は、59カ国から3,190社が出展し、120カ国以上から約17万5,000人の業界関係者が来場した。出展者数および来場者数は、いずれも過去最高となった。
今回大きなテーマとなったのが、人工知能(AI)やデジタル化の鉄道分野への実装だ。主催者は、AIについて、過去2年間で単なるトレンドから業界で最も注目されるテーマへ変化したと総括している。会場では「AI Mobility Lab」や初開催となる「AI on Track」ハッカソンなどで、AIを活用した運行や保守、インフラ管理などのソリューションが紹介された。
鉄道インフラとトンネル建設部門では、デジタル技術を活用したインフラの計画・モニタリングや管理などの技術が紹介された。ドイツ鉄道協会(VDB)が主催したフォーラムでは、データを活用した予知保全による設備の稼働率向上や保守コスト削減の可能性が議論される一方、その普及には企業間のデータ共有や標準化が必要との指摘があった。
また、欧州の鉄道規格・仕様の調和を通じた効率化も焦点となった。ドイツ交通フォーラム(DVF)のハイケ・ファン・ホールン専務理事は、欧州共通規格によって規模の経済を生み出す必要性を指摘。欧州鉄道機関(ERA)からも、欧州全体で展開可能な仕組みを構築することが、民間投資を呼び込む上でも重要との見方が示された。業界団体からは、欧州列車制御システム(ETCS)や自動運転などの実装を加速するため、政策面からの後押しを求める声が上がった。
脱炭素に向けた鉄道の電動化も主要テーマとなった。鉄道技術部門では、高性能バッテリーや電力供給システム、データインフラなどが紹介された。特に欧州では、非電化区間を走行できるバッテリー式車両(BEMU)の重要性が高まっている。バッテリー式車両は従来型のディーゼル車両と比べ、CO2排出量の低減などにつながるとされている。
屋外・線路展示エリアでは、シュタッドラー(Stadler)の水素駆動車両や中国中車(CRRC)のハイブリッド機関車、シーメンスモビリティのソフトウエア定義型機関車プラットフォームなど、多様な次世代車両・技術が展示された。
屋外車両展示の様子(ジェトロ撮影)
日本からは、日本鉄道システム輸出組合(JORSA)がパビリオンを設置し、メーカー、鉄道事業者、研究機関、ODA機関の18団体が共同出展した。JORSAは2002年以来、InnoTransへの出展を継続している。
JORSAパビリオンの様子(ジェトロ撮影)
JORSAの鈴木啓之専務理事は、脱炭素やAIを活用したデータ利用が進展する中、インフラの老朽化対策や保全などの分野では、日本企業の新しく高品質な技術が参入できる余地があるとの見方を示した。一方、海外と日本では鉄道規格が異なることを課題として挙げ、「鉄道業界最大級の展示会で、日本の鉄道システムについて共同出展を行う意義は非常に大きい」と述べた。
欧州で鉄道インフラの近代化や効率向上が求められる中、こうした需要を日本企業が取り込めるかも注目される。
次回のInnoTransは2028年9月19~22日にベルリンで開催される予定。
(山田美雪)
(ドイツ、EU、欧州)
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