大阪で大学発スタートアップの海外展開がテーマのイベント開催、「Global Startup EXPO 2026」会期中

(日本)

大阪本部イノベーション課

2026年10月23日

ジェトロ大阪本部と公益財団法人大阪産業局は10月7日、「Global Startup EXPO 2026(注1)」の公式サイドイベントとして、大学発スタートアップのグローバルなスケールアップをテーマとしたステージ「FROM SEEDS TO GLOBAL ~THE CASE FOR KANSAI~」を開催した。海外のベンチャーキャピタル(VC)、大学関係者、研究者、起業家、公的機関や自治体関係者らが一堂に会した。

写真 登壇者の集合写真(ジェトロ撮影)

登壇者の集合写真(ジェトロ撮影)

開催あいさつでは、ジェトロ大阪本部の二宮康史本部長が、2025年大阪・関西万博が生み出したイノベーションと成長の勢いを一過性のものにせず、持続的なレガシーとして定着させる重要性を指摘。その中核を担うのが関西にある大学の優れた研究水準と学術基盤を結集した「大学発スタートアップ」であると強調した。その後、グローバル投資機関アントラーIBEXのエグゼクティブ・ディレクターであるエリオット・アン氏が登壇し「ベンチャークリエーションとは何か」とのテーマで講演した。関西は、国内トップクラスのノーベル賞受賞者を輩出する京都大学をはじめ、世界トップレベルの研究シーズが豊富に集積する一方、研究者が自ら最高経営責任者(CEO)を兼任するケースが多く、ビジネス人材の獲得が課題となっている現状を指摘した。その上で、世界基準の研究成果を迅速にグローバル市場へ展開するため、創業初期から技術とビジネス人材を掛け合わせて事業化を進める「ベンチャークリエーション」の重要性を説いた。

パネルディスカッションでは、欧州トップVCであるカーマ・パートナーズのアマンダ・ゲット-シャペロット氏、2025年に日本に進出しヤクモ(注2)にも投資した、米国拠点の世界有数のVCであるアルムナイ・ベンチャーズからマイケル・G・フィリップス氏が登壇。フィリップス氏は「グローバルスケールを目指すのであれば、国内で実績を作ってからではなくデイワン(Day1、注3)から海外展開を見据えるべき」と強調した。さらに、国境を越えたネットワークの築き方については「ジェトロのようなグローバルコネクションが豊富な支援機関のフル活用や、自ら多様な関係者を訪ねて関係を築く姿勢が重要」と提言した。

写真 左からモデレーターのDMZジャパン・並木由美子氏、登壇者のアマンダ氏、フィリップス氏(ジェトロ撮影)

左からモデレーターのDMZジャパン・並木由美子氏、登壇者のアマンダ氏、フィリップス氏(ジェトロ撮影)

また大阪大学によるセッションでは、同大共創機構の曽根一朗特任教授、同大ベンチャーキャピタル(OUVC)の田賀悠記投資部長、同大発スタートアップ「マイイミューン」共同創業者のダロン・M・スタンドリー教授が登壇。全国9地域を結ぶ「NINEJP」や、OUVCの創業前支援・CXO人材獲得スキームなど、関西の研究成果を世界へ導くエコシステムについて発表した。

参加したスタートアップからは、「パネルディスカッションで米欧のトップVCから提示された『Day1から海外市場を見据えたチーム構成や資金調達を目指すべき』との指摘や、ジェトロなどの支援機関を活用したネットワーク構築法が非常に実践的で参考になった」などの声が寄せられた。本イベントでは、関西が誇る研究シーズと海外資本・人材を結び付ける具体的なアプローチが共有された。国内市場を経由する従来のステップにとどまらず、Day1から海外展開を見据える重要性が示されたことで、今後の地域発スタートアップの海外スケールアップ加速が期待される。

写真 大阪大学によるセッションの様子(ジェトロ撮影)

大阪大学によるセッションの様子(ジェトロ撮影)

(注1)経済産業省、近畿経済産業局、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)、ジェトロが共催し、主にディープテック領域のスタートアップ技術を世界に発信するイベント。2026年は10月5~7日にかけて開催された。

(注2)人工知能(AI)に基づく歩行解析技術を用いて、運動器疾患の早期発見や予防に貢献する医療機器・ウェルネスサービスを展開する大阪大学発のスタートアップ。

(注3)デイワン(Day1):創業1日目または創業初期を指す。

(鵜飼夏海)

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