ECLAC、年次報告書発表、資源高とアジア需要を追い風に中南米・カリブ地域の輸出が拡大

(中南米、ベネズエラ、ボリビア、ペルー、スリナム、メキシコ)

調査部米州課

2026年10月22日

国連ラテンアメリカ・カリブ経済委員会(ECLAC)は10月15日、年次報告書「ラテンアメリカ・カリブ地域の国際貿易見通し」(本文外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます:スペイン語、報告要旨外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます:英語)を発表した。報告書によると、2026年上半期の中南米・カリブ地域の財・サービス輸出額は前年同期比18%増、輸入額は13%増となった。今後も好調が続く見通しで、特に財の輸出額は2026年通年で前年比20%増となる見込みである。

報告書によると、輸出拡大を支えている最大の要因は、石油や銅、金、銀などの資源価格の上昇である。2026年上半期には、ベネズエラ(前年同期比60%増)、ボリビア(57%増)、ペルー(39%増)、スリナム(39%増)などの資源国で財の輸出が大幅に増加した。通年では、ペルー(前年比30%増)、メキシコ(26%増)、ボリビア(23%増)が輸出額の伸び率で域内上位3カ国となる見通しである。また、ペルー、ベネズエラ、メキシコなどでは輸出拡大とともに輸入も大きく増加しており、輸出関連産業に必要な設備投資や中間財需要の拡大が背景にあるとみられる。

一方、多くの南米諸国で輸出増加の主因が資源価格上昇であるのに対し、メキシコは輸出増加の大部分が輸出数量の拡大による点が特徴的である。メキシコの財輸出は通年で26%増加する見込みで、そのうち数量要因が25%である。ECLACは、米国とのサプライチェーン統合やニアショアリングの進展に加え、人工知能(AI)投資拡大に伴うデータ処理機器や関連機器需要の拡大が寄与していると説明した。

地域全体の交易条件は2026年に6%改善する見通しである。ペルー(26%)、ベネズエラ(23%)、ボリビア(18%)などで大きな改善が見込まれる一方、エネルギーや食料の純輸入国が多い中米・カリブの一部諸国では、改善は限定的となる見込みだ。

もう1つ注目されるのが、アジア向け輸出の拡大である。2026年上半期は、中国を除くアジア向け輸出の伸びが顕著で、インド向けは前年同期比102%増と倍増した。ASEAN諸国向けは28%増、韓国向けは16%増、日本向けは8%増となった。2026年通年では中国を除くアジア向け輸出が前年比32%増と主要市場国の中で最も高い伸びを示す見込みである。

ECLACは、世界的なサプライチェーン再編や重要鉱物需要の拡大が中南米・カリブ地域に新たな機会をもたらしていると指摘した。一方で、持続的な成長に向けては資源輸出の拡大のみならず、企業向けサービスやICT(情報通信技術)、金融サービスなどの近代的サービス産業の育成も重要だとした。こうした分野は輸出多様化や質の高い雇用創出、産業の高度化につながるとし、その潜在力を引き出すためには、輸出促進、対内直接投資誘致、人材育成を柱とする官民連携が重要と強調した。

(山中真菜)

(中南米、ベネズエラ、ボリビア、ペルー、スリナム、メキシコ)

ビジネス短信 d6d9cd8e72482a85