米大統領経済諮問委、民主社会主義の政策が経済・財政に与える影響評価報告書を発表
(米国)
ニューヨーク発
2026年10月06日
米国の大統領経済諮問委員会(CEA)は10月1日、「米国における社会主義の真のコスト-米国民主社会主義者(DSA)の政策アジェンダが経済・財政に与える影響評価-」と題する報告書
を発表した。
CEAは、大統領に対して経済政策の助言をする諮問委員会で、国内外に対する政権の経済政策と米国の経済情勢に関する判断を示す「大統領経済報告書(ERP)」(注1)を毎年作成する。
政治団体であるDSA
は1982年に設立され、10万人以上の会員がおり、資本主義を「所有者階級が自らの利益のために一般市民を搾取するよう設計した体制」と批判し、「一般市民がそれぞれの職場や地域社会、社会全体において発言権を持つ体制である民主社会主義に置き換えなければならない」と主張している。近年、DSAに対する支持が拡大しており、11月の中間選挙に向けた民主党の予備選挙では、DSAを中心に社会主義的な政策を掲げる候補者が相次いで勝利している。
CEAは今回、DSAが掲げる(1)学生ローンの全額免除と大学授業料の無償化、(2)国境の開放と不法滞在者への恩赦、(3)警察および刑務所制度の廃止、(4)国民皆保険制度(メディケア・フォー・オール)、(5)普遍的な家賃規制、(6)グリーン・ニューディール、(7)週32時間労働の義務化、(8)富裕層に対する年率5%の資産税の政策について、財政と経済に与える影響を分析した。CEAの試算によれば、こうした政策が実行された場合、財政負担は今後10年間で合計49兆ドル以上拡大し、1世帯当たりの負担の増加分は35万5,000ドルに相当する(注2)。報告書では、これら負担は国債発行か増税かのいずれかによって賄われることになると指摘している。その上で、国債を発行すれば10年物国債の金利は10%を超えインフレ率は2桁台に上昇し、増税で対応する場合には実質GDPが14.6%低下すると試算した。
なおホワイトハウスは、CEAの報告書発表と併せ、トランプ政権発足以降、「製造業の雇用が数万人増加し、製造業の賃金は3,000ドル以上上昇した」「米国経済に100万人以上の雇用を創出した」などと、ドナルド・トランプ大統領の経済政策を賞賛する声明
を発表した。
11月の中間選挙は、現時点では、民主党が下院で過半数を獲得するとの見方が大勢だが、上院は僅差になるとみられており、民主党、共和党どちらが多数政党になるかは見方が割れている(注3)。ただし、トランプ氏の支持率は10月2日付で38.2%、不支持率は60.3%(リアルクリアポリティクス)と政権発足以降最低水準にあることも相まって、日に日に民主党優位との指摘が多くなっている。ピュー・リサーチ・センターの世論調査(注4)によれば、中間選挙の最大の争点は「経済」で、中でも「アフォーダビリティー」だとされており、今後、中間選挙まで、両党による有権者へのアピールは一層活発化するとみられる。
(注1)ERPは、一般教書、予算教書と並び、米国3大教書に位置付けられる。
(注2)(3)を除く7つの政策を分析した結果。
(注3)議会動向に詳しい首都ワシントンのコンサルタントによるジェトロへの報告(10月2日付)。
(注4)米国の成人に対して、2026年7月6~12日に実施。
(赤平大寿)
(米国)
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