ベネズエラ、スターリンクの国内事業を認可、外資系企業の事業計画相次ぐ
(ベネズエラ、米国、ドイツ、コスタリカ、スペイン)
カラカス発
2026年10月22日
ベネズエラ国家通信委員会(Conatel)は10月9日、米国スペースXの現地法人スペースX VZに一般事業許可と7件のコンセッションを付与し、衛星通信サービス「スターリンク」の国内での正式な事業展開を認可した。これにより、同社はベネズエラ国内に拠点を置き、当局の監督下で衛星インターネットサービスを提供できるようになる(通信情報省10月9日付プレスリリース)。
認可の契機となったのは、6月24日に発生した地震への対応だった。地上の通信インフラが大きな被害を受けたラ・グアイラ州で、同社は一時的な許可に基づき、1,600台以上の通信機器を展開した。また、衛星と携帯端末を直接接続してメッセージを送る「ダイレクト・ツー・デバイス(D2D)」やKu帯(注)を利用した通信の実証が行われた。これらの実績を踏まえ、Conatelは正式な事業許可を付与した。なお、商用サービスの開始時期や料金、販売方法は現時点で公表されていない(「エル・ディアリオ」紙10月9日付)。
通信以外の分野でも、外国企業による新たな事業計画が相次いでいる。ドイツの潤滑油・添加剤メーカーのリキモリは、ベネズエラ企業ファウチ・グループを同国の正規販売代理店とする提携を発表した。当初はガソリン車向けの高級製品100品目以上を投入し、その後、ディーゼル車向け、産業用、レーシング用の製品に対象を広げる。2027年には整備士や販売担当者向けの研修施設の設置も計画する(「カラカス・デジタル」10月12日付)。
中米を中心に事業を展開するコスタリカ系法律事務所BLPも、11月にカラカス駐在員事務所を開設する。エネルギー、炭化水素、鉱業、金融、通信分野への投資を検討する国内外の企業に法務支援を提供する予定で、同事務所は開設理由としてベネズエラへの投資関心の高まりを挙げた。現地事務所は、ベネズエラ市場を同社の中米、スペイン、アラブ首長国連邦の拠点網につなぐ役割も担う(「エル・ウニベルサル」紙10月5日付)。
水産分野では、10月6~7日にスペイン北西部ビーゴで開催された国際水産見本市「Conxemar 2026」にベネズエラ企業約20社が参加した。同国政府によると、タコ、フエダイ、エビ、ロブスターなどのスペイン向け輸出に関する意向書が締結された。見本市には46カ国から812社が出展し、来場者は3万人を超えた(外務・国際貿易省10月9日付プレスリリース)。
一連の動きは、外国企業が従来の石油・天然ガス分野に加え、通信、専門サービス、消費財、非石油輸出にも事業機会を見いだし始めていることを示す。一方、法制度の予見可能性や財産権保護、通貨の安定性など、投資環境上の課題はなお大きい。カナダのフレーザー研究所の2026年版「世界の経済的自由度」によると、ベネズエラは対象165カ国・地域中165位だった。外資系企業には、制度変更や事業リスクを慎重に見極める姿勢が引き続き求められる(「セディセ・リベルタ」10月7日付)。
(注)Ku帯とは、一般に12~18ギガヘルツ(GHz)の周波数帯を指し、衛星放送や衛星インターネットなどに利用される。
(マガリ・ヨネクラ、中畑貴雄)
(ベネズエラ、米国、ドイツ、コスタリカ、スペイン)
ビジネス短信 cd027210e131bfec





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