ホーチミン市、産学官連携のAI中核拠点構築へ3者が覚書署名
(ベトナム)
ホーチミン発
2026年10月08日
ベトナムのホーチミン・イノベーション・ハブ(SIHUB)とホーチミン市経済大学(UEH)、プラグ・アンド・プレイ・シンガポール(注)の3者は9月30日、人工知能(AI)の研究・実証・事業化を支援する中核拠点である「AIセンター・オブ・エクセレンス(以下AI CoE)」設立の調査・構築および段階的な展開に向けた覚書(MOU)に署名した(「トイチェ」9月30日)。
AI CoEでは、本連携により、3つの取り組みを進める。第1に、学生や教職員、政府職員、企業関係者を対象としたAI・イノベーション分野の人材育成を行う。第2に、AI関連スタートアップの育成および事業化を支援する。選定されたスタートアップには研修やメンタリングに加え、国内外の専門家や投資家、企業との交流の機会を提供する。第3に、政府機関や企業、業界団体が抱える課題を特定し、解決に適したスタートアップや技術を選定して、実際の運用環境で実証する。実証結果を踏まえてソリューションを改良し、実用化・商用化につなげる。
今回締結されたMOUは、AI CoEの構築に向けた第1段階に位置付けられる。報道によると、3者は本MOU締結後、組織体制や運営方法、各者の役割・責任、投入する資源・資金、主要な業績評価指標(KPI)、実施ロードマップなどを盛り込んだ詳細な実施協定の策定に着手する。同協定を約30日以内に取りまとめ、AI CoE構想の具体化を進める方針だ。3者は、具体化したAI CoEのプログラムを2026年11月3日から11月5日まで開催の「Silicon Valley November Summit 2026」(プラグ・アンド・プレイ主催)で、発表する計画だ。同サミットでの発表を通じて、ホーチミン市やベトナムにおけるイノベーションの取り組みを世界の企業や投資家に発信するとともに、同市のイノベーション・エコシステム構築に必要なパートナーや資金、技術ソリューションの呼び込みにつなげる考えだ(「ラオ・ドン」9月30日)。
今回のAI CoEは、ホーチミン市が推進するAI研究・応用プログラム政策を具体化する取り組みの1つと位置付けられる。ホーチミン市人民委員会は2025年6月、2020~2030年のAI研究・応用プログラムの実施計画を策定した。同計画では、同市を国内・地域有数のAI研究・応用拠点とすることを目指し、AIの研究開発・技術移転、重点産業への導入、人材育成、5GやIoT、共通・オープンデータなどの基盤整備を進める。研究機関やスタートアップ、企業の連携を通じ、AI技術の実用化・商用化を促す方針だ。また、プラグ・アンド・プレイの国際ネットワークを通じて、ベトナムのAIスタートアップへの投資や協業の機会が増えることも期待される。
(注)プラグ・アンド・プレイ・シンガポールが属するプラグ・アンド・プレイは、2006年に米国シリコンバレーで設立された。世界60カ国以上に展開し、大企業、スタートアップ、政府・公共機関、投資家、大学をつなぐ世界最大級のイノベーションプラットフォームを運営する。
(小林真龍)
(ベトナム)
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