フランス政府、軽油備蓄放出を発表

(フランス)

パリ発

2026年10月13日

フランスのセバスチャン・ルコルニュ首相は10月7日、中東情勢の緊迫化に伴うエネルギー価格高騰への対応策として、国家備蓄から1,000万バレルの軽油を市場に放出する方針を表明した(注)。

今回の備蓄放出は、10月2日に開催された世界のエネルギー情勢に関するG7首脳オンライン会合での協調的な戦略備蓄活用の決定を受けた措置。G7は国際エネルギー機関(IEA)の枠組みの下で、計1億バレルの石油備蓄を4カ月間にわたり放出する方針を決定しており、最初の20日間には軽油の大規模放出が盛り込まれている。今回の備蓄放出について政府は既にIEAへ通知しており、近く関連政令(デクレ)を公布する予定だ。

放出する軽油は過去に取得した戦略備蓄で、3カ月間にわたり国内販売事業者に原価で供給する。これにより、ガソリンスタンドでの軽油価格は1リットル当たり12~18ユーロセント程度低下する見通しだ。事業者には放出後1年以内の備蓄補充を求める。

首相は、通勤や事業活動で自動車利用が不可欠な世帯や事業者への負担軽減が狙いだと説明した。政府は、長距離通勤者向け補助金や運輸・建設・農漁業向け融資制度など、燃料費負担の大きい層を対象とした支援措置の拡充を進めている。原則として春に支給される低所得世帯向けのエネルギー手当についても、2027年1月に支給を前倒しする方針だ。

一方、エネルギー価格高騰への対応として広範な補助金や大幅減税を求める声があることに理解を示しつつ、前回2021年末からのエネルギー危機では、価格抑制策や各種支援に700億ユーロ超を投じた結果、財政負担が大きく膨らんだとして、「危機のたびに同じ支出を繰り返すことはできない」と強調した。

また、備蓄放出を当面の価格高騰対策と位置付ける一方、中長期的には電化推進を通じて化石燃料への依存低減を図る考えを示した。電化政策の推進と整合的な措置として、「この冬、電気料金を引き上げない」と明言した。政府は今後、料金据え置きを実現するための具体策を公表する方針で、フランス電力(EDF)に対しても安全確保を前提に発電能力を最大限活用するよう求めた。

なお、フランス国内の燃料価格は、軽油が1リットル当たり約2.35ユーロ、レギュラーガソリン(SP95-E10)が約2.16ユーロで高止まりしている(10月9日現在)。

(注)「レゼコー」紙(電子版)10月9日付記事によれば、フランスの軽油備蓄全体の20%に相当する。

(山崎あき)

(フランス)

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