タイの健康・ウェルネス・介護分野事業者が日本企業との協業ニーズを紹介

(タイ、日本)

バンコク発

2026年10月28日

ジェトロは9月28日、Medical Excellence JAPAN(MEJ、注)と共催で、タイの首都バンコクで、「タイヘルスケア・ウェルネス、ビジネスマッチング」第2回健康ウェルネス・介護分野、事前説明会・リバースピッチセミナーを開催した。会場とオンラインで約160人が参加し、タイの介護施設運営企業や業界団体、病院の臨床栄養専門家、リハビリテーション機器のディストリビューターらが、現場の課題や日本企業との協業ニーズを紹介した。

高齢者施設チャーサリー・ホームを運営するK.P.N.シニア・ホスピタルの最高経営責任者(CEO)で、タイ高齢者保健サービス・貿易協会(SHSTA)会長のケンポン・タンアルンサンティ氏は、高齢化に伴い、地域・在宅ケアの需要が拡大すると予測し、品質や実用性に加え、手頃な価格が求められると指摘した。人工知能(AI)やロボティクス、デジタルヘルスなどの分野で日本企業との連携に期待を示した。

介護・ヘルスケア・リハビリテーション施設運営会社のザ・ペアレンツのCEOのビルン・ポーンパットクン氏は、病院から在宅・介護へのケアの分断や介護人材の不足を課題に挙げ、リハビリ・支援機器や転倒予防、栄養管理などで、日本の技術を活用したいと述べた。

介護施設ナワシー・ナーシングホームの幹部で、SHSTA副会長のオラナン・ウドムパープ氏は、入浴・移乗介助、夜間の見守りなどの負担軽減に向け、介助機器や見守りシステム導入が必要と述べた。民間の中小事業者が多く、費用を家族が全額負担するタイの介護市場では、手頃な価格に加え、タイ語対応や現地での保守体制が重要だと指摘した。

栄養分野では、民間病院で栄養療法部門の責任者を務める認定栄養士のカタリーヤ・ケーウクン氏が、代替たんぱく質や嚥下(えんげ)調整食、3Dフードプリンティングなど7つのテーマについて、タイの市場と病院での課題を紹介した。嚥下調整食については、疾患に応じた対応が不十分で、栄養不足も課題と指摘した。臨床面での検証やタイ食品医薬品局(FDA)への登録など、導入に必要な手続きを踏まえ、日本企業とPoC(概念実証)や共同研究などで協業したいと述べた。

リハビリテーション分野では、エンラフ・ノニウス・メディカル・イクイップメントのエグゼクティブディレクターのパッソーン・チャルーンジット氏が、脳刺激療法やリハビリロボットなど神経リハビリの新技術や、在宅・デジタルリハビリなどを有望分野に挙げた。

最後に、日系のクリップティップ(タイランド)の冨永知之氏が、タイの健康ウェルネス・介護市場の動向と、日本企業が参入する際の留意点を解説した。冨永氏は、タイ市場は「誰が使うか」よりも「誰が支払い、誰が購買を決めるか」で分けて考えるべきだと指摘した。また、日本で成功した売り方をそのまま持ち込むのではなく、タイ企業・機関と実証を重ねながら、一緒に「売れる仕組み」をつくることが重要だとした。

(注)日本の優れた医療・ヘルスケアの国際展開を推進するために設立された一般社団法人。

(上江洲祐貴)

(タイ、日本)

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