マニラで第4回AZEC閣僚会合開催、日・フィリピン間でエネルギー安全保障協力を強化

(フィリピン、日本)

マニラ発

2026年10月29日

フィリピンのマニラで第4回アジア・ゼロエミッション共同体(AZEC)閣僚会合が10月8日に開催され、日本を含む参加国が共同声明を採択し、これまでの成果を確認した。AZECは「One Goal, Various Pathways(共通のゴール・多様な道筋)」の理念の下、各国のエネルギー事情に応じた脱炭素化を推進する姿勢を示した。各国はエネルギー安全保障の強化に向け、石油備蓄制度・インフラの整備や産油国との協力による備蓄能力の拡大を進めるとともに、ASEAN域内での情報共有や緊急時の協調対応の枠組み構築に取り組む方針を確認した。

会合では、加盟国の企業・関係機関間で70件の覚書(MOU・MOC)の締結が公表され、13件が日本とフィリピンに関連する案件だった。これには、経済産業省とフィリピン・エネルギー省(DOE)との原子力分野や洋上風力分野に関する包括的な協力に関する覚書が含まれる。また、国際協力機構(JICA)と同エネルギー省との間で石油セキュリティー分野における協力を確認する共同発表への署名が行われた。

併催されたAZECビジネスフォーラムには約250人の企業・国際機関関係者が参加し、「トランジション・ファイナンス(注)」と「石油備蓄」をテーマに議論した。また、中東情勢の不安定化を背景にエネルギー安全保障への関心が高まる中、フィリピン政府は日本の石油備蓄制度の知見を参考に制度整備を進めていることを明らかにした。また、ASEAN石油安全保障枠組み(APSA)の実効性向上に向け、情報共有や緊急時対応手続の具体化、共同備蓄の推進が重要との認識が示された。さらに、脱炭素化とエネルギー安全保障の両立に向け、送電網整備や産業部門の脱炭素化などエネルギー移行に必要な投資を促進するための資金確保の重要性が指摘された。

今回の閣僚会合の成果は11月に開催予定のAZEC首脳会合に報告される予定であり、日ASEAN間の脱炭素化とエネルギー安全保障に関する協力のさらなる進展が期待される。

写真 AZECビジネスフォーラムの様子(ジェトロ撮影)

AZECビジネスフォーラムの様子(ジェトロ撮影)

写真 AZECビジネスフォーラム・パネルディスカッションの様子(ジェトロ撮影)

AZECビジネスフォーラム・パネルディスカッションの様子(ジェトロ撮影)

(注)脱炭素社会への移行に向け、温室効果ガス排出削減のための中長期的な取り組みを資金面から支援する金融手法。

(アギラー・パールホープ、西岡絵里奈)

(フィリピン、日本)

ビジネス短信 aabe814286bdc243