パキスタンの9月郷里送金、主要送金元の堅調さが下支え

(パキスタン)

カラチ発

2026年10月29日

パキスタン中央銀行(SBP)が10月9日に公表した統計によると、2026年9月の郷里送金額は36億ドルとなった。前月比では1.9%減少したものの、前年同月比では12.7%増加しており、引き続き高水準を維持している。2026/2027年度第1四半期(2026年7~9月)の累計送金額は109億ドルとなり、前年同期比14.0%増となった。

9月の送金元別では、サウジアラビアが8億9,900万ドル(前年同月:7億5,100万ドル)で最大となり、前年同月比19.7%増と大きく伸長した。次いでアラブ首長国連邦(UAE)が7億4,900万ドル(6億7,700万ドル)、英国が5億1,500万ドル(4億5,500万ドル)、米国が3億600万ドル(2億6,900万ドル)となった。湾岸諸国からの送金が全体の送金額を下支えする構図は引き続き変わらず、とりわけサウジアラビアおよびUAEが全体の約46%を占めている。

長期的な推移をみると、郷里送金は近年、増加傾向にあり、2025/2026年度の年間送金額は約416億ドルと過去最高水準を記録した(2026年7月15日記事参照)。2026/2027年度に入ってからも月間35億~37億ドル間の高い水準で推移しており、パキスタンの外貨流入を支える重要な要素となっている。外貨準備高や経常収支の安定に寄与するだけでなく、国内の消費や家計所得を支える役割も大きい。

先行きには不透明な要因も存在する。断続的な中東情勢の緊張により、湾岸地域の経済活動や雇用環境が影響を受けた場合、パキスタン人出稼ぎ労働者の所得や送金能力に波及する可能性がある。一方、現時点で、サウジアラビアやUAEでは、パキスタン人労働者に対する需要は底堅く推移しており、実際2026年1~9月にかけて、サウジアラビアに約25万8,000人、UAEに約5万2,000人のパキスタン人が移住している。

パキスタンでは、外貨準備高の安定を図るうえで、輸出や海外直接投資(FDI)の拡大が課題となっている。こうした中、郷里送金は引き続き安定した外貨流入源として重要な役割を果たしている。今後の送金動向を見通すうえでは、主要な送金元である湾岸諸国の雇用情勢に加え、中東における地政学的緊張の行方が注目される。

(糸長真知)

(パキスタン)

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