ブラジル、ゲーム産業の法的枠組み具体化の政令を公布、支援策も盛り込む

(ブラジル)

サンパウロ発

2026年10月26日

ルイス・イナシオ・ルーラ・ダ・シルバ大統領は10月14日、ゲーム産業の法的枠組み(注1)を具体化する政令第13138号を公布した。同政令では、国内ゲーム産業の育成、技術革新の促進、人材育成、知的財産権保護、ユーザーの健康保護などに関する政府方針や各省庁の役割を定めた。

具体策として、文化省はブラジル製ゲームの紹介・普及を目的とする無料の公共プラットフォーム「ゲーム・ブラジル(Game Brasil)」を設置する(注2)。同プラットフォームでは、ブラジル製ゲームに関する情報や配信先を集約・公開するほか、公的資金で開発されたゲームを公的な教育機関や研究機関、医療機関向けに提供するリポジトリーを設置できる。また、同省はゲーム関連の教育・研究・開発拠点を連携させる全国ネットワークも創設する。

資金面の支援策も盛り込まれた。政令は、文化省傘下の国家映画庁(Ancine)が、視聴覚産業向けに融資などを行う視聴覚セクター基金(FSA)について、ゲーム関連プロジェクトの融資基準を策定し、FSA運営委員会に提案すると定めた。文化省の10月14日付プレスリリースによると、Ancineは融資金利の引き下げに加え、中小規模のゲーム開発企業による利用促進に向け、ゲーム関連プロジェクト向けのFSA融資最低額を現行の50万レアル(約1,580万円、1レアル=約31.6円)から15万レアルへ引き下げ、金利を「参照金利(TR)+年2%」から「TR+年0.5%」に引き下げる案を同委員会に提案する。

税制面では、ゲーム開発プロジェクトが視聴覚法(注3)の税制優遇を活用して資金を調達できるよう、Ancineが規則を定める。文化省は2027年に、開発拠点の設備整備と独立系ゲームの制作・販売支援を目的とする2事業(資金調達見込み額は各5,000万レアル)を計画しているほか、文化振興を目的とする税制優遇制度を規定するルアネ法(注4)に基づく協賛金の獲得を支援する「ルアネ・ゲームズ(Rouanet Games)」も開始する。さらに、科学技術革新省はゲーム開発を手掛けるスタートアップ向けに、企画・研究融資機関(FINEP、注5)を活用した総額2億レアルの公募事業を提案する予定だ。

文化省によると、ブラジルのゲーム人口は2025年時点で約1億2,330万人、売上高は27億ドルで世界第9位。一方、ブラジルゲーム開発協会(Abragames)などの調査では、回答した国内ゲーム開発企業297社の60%が公的資金を利用した経験がなく、資金調達は引き続き課題となっている。

(注1)ブラジルのゲーム産業の法的枠組みは、2024年5月3日付法律第14852号により導入された。同法はゲーム産業関連活動を定義するとともに、国内ゲーム産業の発展支援などを目的とする。

(注2)文化省の10月14日付プレスリリースによると、同プラットフォームの初期投資額は140万レアルの見込み。

(注3)1993年法律第8685号。視聴覚作品への投資に対する税制優遇を定めている。2024年法律第14852号により、ゲーム開発企業にも同法が適用されることとなった。

(注4)ブラジルでは、1991年法律第8313号(通称:ルアネ法)に基づき、文化振興を目的とする税制優遇制度が設けられている。企業や個人は納税額の一部を文化・芸術プロジェクトの支援に充てることができる。2024年法律第14852号によりゲーム開発も対象に追加された。

(注5)FINEPは科学技術革新省傘下の公社で、融資や補助金の交付を通じて科学技術開発を支援している。

(エルナニ・オダ)

(ブラジル)

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