カスト政権初となる2027年予算案を国会に提出、歳出1.5%増、経済成長・治安を重視

(チリ)

サンティアゴ発

2026年10月06日

チリ政府は9月30日、ホセ・アントニオ・カスト大統領政権下で初となる2027年予算案を国会に提出した。政府は予算案で、2027年の歳出を2026年の支出見込み額比で1.5%増加させる方針を示し、経済成長・雇用・復興、治安、子供政策、社会給付の保護の4分野を重点分野に位置付けた。予算案は今後、60日間にわたり国会で審議される。

重点分野のうち、経済成長・雇用・復興向け予算には9兆5,000億ペソ(約1兆5,200億円、1ペソ=約0.16円)を配分し、前年比8.1%増となる。政府は全国で地域雇用創出とインフラ維持を目的とする241件の公共事業を実施する計画で、2027年1月から着工する方針を示した。また、近年の森林火災などで被災した地域の復興支援に5,000億ペソ超を配分する。

治安分野には7兆ペソを配分し、前年比9.1%増となる。警察組織のうち、国家警察にあたるカラビネロスの増員枠1,000人分の予算を措置するほか、3,200人超の警察官を養成できる体制を確保する。警察捜査局(PDI)の地域組織犯罪対策向け予算は倍増する。移民局予算も約3分の1増額し、不法滞在者の送還費用に充てる。また、複数の州にまたがる犯罪組織への対応を担う広域検察局を発足させる。

子供政策向け予算は2兆5,000億ペソで前年比4.1%増となる。このうち、虐待被害を受けた児童向け支援プログラムは19.3%増額される。

社会給付の保護では、普遍的保障年金(PGU)向けとして7兆ペソを計上するほか、教育予算には17兆3,000億ペソを配分し、学校給食や高等教育無償化制度を維持する。

また、保健予算は前年比4.7%増となる。増額分は診療待機期間の短縮や病院、保健センターなどの体制強化に充てる。

カスト政権は財政の健全化を掲げているが、ホルヘ・キロス財務相は、今回の予算案による歳出増加率1.5%は「緩やかな増加」であり、財政健全化方針と整合的であると説明した。当初は0~1%程度の歳出増加を想定していたが、銅価格見通しの上方修正により追加的な財政余地が確保されたため、1.5%まで引き上げることが可能になったとしている。

現地メディアによると、エコノミストや金融機関は、予算案による公共投資の増加が2027年のGDP成長率を最大0.5ポイント押し上げる可能性があるとの見方を示している。

(高橋英行)

(チリ)

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