秋田の高級菓子メーカーが台湾に海外初店舗を出店

(日本、台湾)

秋田発

2026年10月02日

秋田市に本社を置く、ゆう幸は9月17日、同社が展開する高級菓子ブランド「くら吉」の初の海外常設店舗を、台湾高雄市の百貨店「漢神アリーナ店」に開設した。ゆう幸の佐々木幸生代表取締役会長兼社長は、開店記念式典のあいさつで「当社の特長は秋田県産の素材を生かした商品作りにある。善兵衛栗(注1)やラズベリーなどを生産者から直接仕入れている」と述べた。また、それらの付加価値は、贈答文化が根付く台湾でも受け入れられるとの自信を示した。

写真 あいさつする佐々木会長兼社長(ジェトロ撮影)

あいさつする佐々木会長兼社長(ジェトロ撮影)

台湾最大の商圏は台北市を中心とする北部だが、中部の台中市や南部の高雄市にも高所得者層が多い。高雄市に本拠を置く出店先の漢神百貨から「より高品質な商品が求められ始めている」として強い出店要請を受けたことが、高雄市への進出につながった。

ゆう幸は2026年2月、同じ漢神アリーナ店で開催された日本物産フェアにポップアップ店舗を出店しており、その際には販売予定の商品が完売するなど、現地市場で十分な手応えを感じていた。

ゆう幸は、ジェトロなどが中堅・中小企業の海外展開を総合的に支援するプログラム「新輸出大国コンソーシアム」(注2)を活用し、台湾進出を実現した。コンソーシアムで同社を支援するパートナー(担当専門家)で、台湾の消費市場や富裕層の動向に詳しい高木廣幸氏は、「台北市が最大の商圏であることは間違いないが、商圏が分散しており、富裕層を捉えにくい。ゆう幸の『地域一番店に出店し、富裕層を狙う』戦略を踏まえると、最初に高雄市へ進出することには意味がある」と評価する。

受け入れ側の期待も高い。漢神アリーナ店食品美食課の大場龍希氏は、ジェトロのインタビュー(9月24日)に対し、「実演販売や季節に合わせた商品展開などを通じて、日本・秋田ならではの魅力を継続的に発信してほしい」と述べ、くら吉の商品やブランドの魅力をより広く知ってもらうことでリピーターが増えることへの期待を示した。

くら吉は、初日の開店直後から買い物客が途切れることなく訪れた。台湾では、老舗茶ブランド「王德傳」とコラボしたケーキや、台湾限定のクッキー詰め合わせなど、独自の商品も販売している。佐々木会長兼社長は「台湾は単なる輸出先ではなく、長く付き合うパートナーである」と述べた。

写真 開店直後から列を作る来店者(ジェトロ撮影)

開店直後から列を作る来店者(ジェトロ撮影)

(注1)秋田県仙北市西明寺地区特産の西明寺栗のうち、赤倉栗園が栽培する品種(西明寺栗一号)。大きなものは乳児の握りこぶしほどになり、日本一大きい栗ともいわれる。

(注2)ジェトロによる、海外展開フェーズに即したハンズオン支援。海外展開を目指す中堅・中小企業に対し、各国・地域の事情や実務に精通した専門家が、海外展開戦略の策定から実行まで企業に伴走して支援する。

(梅津哲也)

(日本、台湾)

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