スウェーデンの防衛大手サーブ、カナダ企業3社と戦闘機の現地生産に向けた提携へ

(カナダ、スウェーデン)

調査部米州課

2026年10月30日

スウェーデンの防衛大手サーブは10月27日、カナダ政府が同社の多用途戦闘機「グリペンE」を採用した場合、カナダ企業3社(CAE外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます、IMP外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます、マゼラン・エアロスペース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)を主要な現地パートナーとし、カナダ国内に生産・運用支援体制を構築すると発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。

カナダ政府は、カナダ空軍が保有する戦闘機の後継機の調達を進めている。2023年1月には、米国ロッキード・マーチンのF-35A戦闘機88機を調達する契約を締結したが、2025年3月、米国との外交・通商関係の緊張から、調達計画の見直しに着手した(注1)。既に発注済みのF-35Aと、カナダで生産するグリペンEを併用する案も報じられている。サーブの発表は、こうした経緯を踏まえ、カナダ政府が同機を採用した場合の産業協力案を具体化したものだ。

背景には、カナダ政府が2026年に発表した「防衛産業戦略」がある。同戦略では、「構築・連携・調達(Build-Partner-Buy)」(注2)の方針の下、同志国との協力を拡大し、国内防衛産業の育成と経済効果の創出を進める方針を示している。防衛装備品の調達を安全保障だけでなく、国内の生産能力やサプライチェーン、研究開発、人材育成、雇用の強化につなげる考えだ。

サーブはIMPとチーミング契約(注3)を締結し、カナダ国内にグリペンEの最終組み立てラインを設置する方針だ。IMPは電気系統の組み立てに加え、導入後の運用支援も担当する。マゼラン・エアロスペースとは覚書を締結し、先進的な航空機製造、複合材構造、構造部品をカナダ国内で製造する。

また、既に覚書を締結しているCAEは、戦闘機パイロットと整備要員の訓練、ミッションシステム・エンジニアリング、維持・運用支援を担当する予定だ。3社との連携が実現すれば、機体の生産・最終組み立てから訓練、維持整備、将来の能力向上までをカナダ国内で担う体制が構築される。サーブは、学術・研究機関などとも連携し、カナダの将来的な防衛産業エコシステム形成に向けて取り組むとしている。

(注1)カナダ政府はF-35A戦闘機16機の初期契約を結んでおり、残りの72機について調達見直しを進めている。カナダ空軍は10月23日、22日にF-35A戦闘機2機がアリゾナ州ルーク空軍基地で納入されたと発表した。デービッド・マクギンティ国防相は29日の記者会見で、調達見直しは継続中との見解を示した。

(注2)国内において強靭(きょうじん)かつ革新的な防衛産業基盤を「構築」するとともに、自国単独では対応できない防衛装備品は信頼できる国・地域と「連携」して生産し、それが困難な場合には、カナダが主権的統制を確保できるかたちで同志国から「調達」する方針を指す。

(注3)将来の入札や契約獲得に向けて、企業間の役割分担や協力内容を定める基本合意。

(木村勇翔)

(カナダ、スウェーデン)

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