出光興産、二酸化炭素の除去事業を展開するブラジル企業インプラネットに融資
(ブラジル、米国、ドイツ、日本)
サンパウロ発
2026年10月02日
出光興産は9月17日、100%子会社の出光アメリカズホールディングス(本社:米国ヒューストン)を通じ、ブラジルで岩石風化促進(ERW、注1)による二酸化炭素(CO2)除去事業を展開するインプラネット(InPlanet、本社:ドイツ・ミュンヘン)に融資を実行したと発表した。融資額は公表していない。この度の融資により、インプラネットの事業拡大を支援し、北米・日本・アジアでのCO2除去市場の開拓や共同プロジェクトを検討する。
ジェトロは同日、サンパウロ州ピラシカバ市にあるインプラネットの拠点と、同州リオ・クラロ市にある提携先の農場を訪問した。フェリックス・ハルテネック最高経営責任者(CEO)は、融資は岩石粉末の散布拡大に充てるプロジェクト資金で、創出するクレジットは、企業の買い手に供給すると説明した。両社が9月21日に発表した共同リリースによると、ERW分野では初となるノンリコース型のプロジェクトファイナンス(注2)の1つだという。インプラネットは2025年12月、2026~2028年に2万8,500トン超のCO2を除去する契約をマイクロソフトと結んでいる。
事業説明をするハルテネックCEO(ジェトロ撮影)
インプラネットは2022年設立。玄武岩の生産過程で相当量生じる微粉(ロックパウダー)を、採石場から最適な距離圏内の農地に散布する。同社の説明によると、累計散布量は約20万トン、事業展開面積は約2万ヘクタール超で、複数の採石場や農場と提携している。散布の翌年に除去量の大半、数年で全量が発現するため、資金回収が早いという。
農家にも利点がある。同社の提携農場では生産性が向上し、肥料など慣行資材の使用量が減った。展開地域はサンパウロ州から、大規模農場の多い中西部に広がっている。
ロックパウダーを提携農場で散布している様子(ジェトロ撮影)
(注1)Enhanced Rock Weatheringの略。細かく粉砕したケイ酸塩岩(玄武岩など)を農地に散布し、自然の風化反応を促進することで、大気中のCO2を重炭酸イオンなどのかたちに変換して長期間貯留する手法。除去量は測定・検証を経て、炭素除去クレジットとして企業などに販売される。
(注2)特定の事業から生じるキャッシュフローを返済原資とし、貸し手の返済請求権(リコース)を当該事業の資産や収益に限定する融資手法。事業が失敗しても、貸し手は借り手の親会社や他の事業の資産に返済を求められない。今回の融資では、既存の引き取り契約と、クレジット引き渡しリスクを対象とするCFC社の保険が返済の裏付けとなっている。
(中山貴弘)
(ブラジル、米国、ドイツ、日本)
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