「ASEANエネルギー見通し」発表、2060年には最終消費が最大で4倍超に拡大

(ASEAN)

バンコク発

2026年10月28日

ASEANエネルギーセンター(ACE)は10月8日、「第9回ASEANエネルギー見通し(AEO09)」を発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。同見通しは、同日にフィリピン・マニラで開かれた、第44回ASEANエネルギー相会合(AMEM)で各国閣僚から承認を得た。

AEO09は、「ASEANエネルギー協力行動計画(APAEC)」(2026~2030年)を支えるもので、APAECの2030年目標である、(1)一次エネルギー総供給に占める再生可能エネルギー比率30%、(2)発電設備容量に占める再生可能エネルギー比率45%、(3)エネルギー原単位40%削減(2005年比)の達成に向けたシナリオ分析などを紹介している。

地域協調によるエネルギー転換には年平均約4,050億ドルの投資が必要

AEO09によると、各国の現状維持シナリオ(BAS、注1)では、2025~2060年に最終エネルギー消費が、最大で4倍超に増える。最終エネルギー消費は2030年に631Mtoe(100万トン原油換算、注2)、2045年に1,333Mtoe、2060年には2,047Mtoeに達し、年平均成長率は4.2%となる見通しだ。消費の伸びは、初期段階に集中し、2045年まで年率5%を超えるペースで増加する一方、経済の成熟に伴い、最後の15年間は年率2.9%に鈍化すると予測される。

2025年時点のエネルギー需要は485Mtoe。産業部門が全体の40.8%、運輸部門が35.6%を占め、住宅部門(14.0%)、商業・業務部門(7.6%)が続く。燃料別では、石油が41%、石炭が17%、天然ガスが7%を占め、化石燃料への依然が続いている。ACEは、経済拡大や人口増加と都市化の進展、産業活動の深化に加え、デジタル化が新たな需要層を生み出していると指摘する。特に、2025~2030年の電力需要の増加分のうち、約5分の1はデータセンターが占めるとしている。

供給面では、一次エネルギー供給量が2025年に745~827Mtoe、2030年に849~989Mtoe、2060年に2,083~3,043Mtoeと予測している。各国の政策対応によって、2060年時点の供給量には約32%相当の差が生じるとした。ACEは、現状維持シナリオ(BAS)では、エネルギー供給が急速に拡大し、2060年に3,000Mtoeを超える一方、供給増加分の多くは、化石燃料由来になると見込む。そのため、地域協調によるエネルギー転換を加速させなければ、APAEC目標達成は困難との見方を示した。

ACEは、より高い脱炭素目標である「地域協調シナリオ」への移行には、2060年までに、累計14兆1,830億ドル(年平均約4,050億ドル)の投資が必要と試算している。現行維持シナリオ(BAS)と比べて、低炭素の発電事業だけではなく、送電網の整備や水素などへの投資が不可欠とした。

(注1)ACEは、2060年までを見通し期間として、(1)基準シナリオ(BAS)と、(2)加盟国が掲げる目標を達成する加盟国目標シナリオ、(3)地域で協調して移行を進めるASEAN協調移行シナリオ、の3つを示している。

(注2)1Mtoeは原油100万トン相当のエネルギー量を示す。国際エネルギー機関(IEA)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますによると、1Mtoeは11.63MWh(メガワット時)に相当する。

(藪恭兵)

(ASEAN)

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