メキシコ、未成年者向けデジタル環境の安全確保を義務化、国外事業者も対象の可能性
(メキシコ)
調査部米州課
2026年10月16日
メキシコ政府は10月14日、子ども・青少年の安全なデジタル環境を確保するための政令を官報で公布し、同日施行した(政令第1条、付則第2条)。児童・青少年権利一般法第101 Bis 3条に基づき、デジタル・プラットフォーム上での暴力や有害情報への接触を防ぎ、心身の健全な発達を保障することが目的。従来の一般的な児童保護の枠組みを具体化し、プラットフォーム運営者に直接的な対応を求める新たな規制となる。
政令は、インターネット上で利用者間の交流、通信、コンテンツの生成・配信・共有を可能にするサービスを広く対象とする(第2条)。運営者には、自己申告のみに依存しない年齢確認、年齢別のコンテンツ分類、保護者による監督機能、未成年者のアカウントに対する最も厳格なプライバシー・安全設定の初期適用などを求める(第4条)。また、いじめ、虐待・搾取、ヘイトスピーチ、暴力的過激主義、違法行為、自殺・自傷行為などを助長するコンテンツについて、未成年者へのアクセス、表示、アルゴリズムによる推薦を認めず、発見時には直ちに削除しなければならない(第3条、第4条)。通報手段の常設、サービス設計や推薦機能に関する定期的なリスク評価、捜査・司法当局向けの24時間対応窓口、削除したデジタル証拠の少なくとも90営業日の保存なども義務付けた(第4条、第5条)。
同政令に対象事業者をメキシコ法人、国内居住者、納税者登録番号(RFC)の保有者に限定する規定はない(第1条、第2条)。このため、メキシコから利用可能なスペイン語の漫画・アニメ配信、利用者投稿型サービス、オンラインゲームなどを運営する国外事業者は日本企業も含め、アカウント、コメント、チャット、投稿、ランキング、推薦などの機能を備える場合、対象となる可能性がある。
規制の具体化に向けた細則整備が不可欠
政令は即日施行され、プラットフォーム事業者には30暦日以内に対応措置を文書化し、当局へ報告するよう求めた(付則第2条、第4条)。しかし、報告先や提出様式、国外事業者の提出方法などが示されておらず、事業者が具体的に何を、どこへ、どのように提出すべきか判断できないため、期限内の履行は実務上困難とみられる。また、監督・執行を担う官庁や違反時の手続きも明示されておらず、政令自体には違反に対する罰則も規定されていない。対象範囲、年齢確認の技術基準、報告・監督手続きを具体化する細則などの早期整備が必要となる。
政府では、今後関係機関による作業部会で必要な規制案を検討するとされており(付則第3条)、運用の具体化が注目される。また、各紙報道によると、識者からは、対象サービスや禁止コンテンツの定義、年齢確認と個人情報保護の両立、表現の自由との整合性などを明確にする必要性も指摘されている。
(中畑貴雄)
(メキシコ)
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