スペイン、議会解散で11月29日に総選挙、産業・エネルギー政策に影響も
(スペイン)
マドリード発
2026年10月09日
スペインのペドロ・サンチェス首相〔社会労働党(PSOE)〕は10月5日、上下両院を解散し、11月29日に総選挙を行うと発表した。6日付官報により、議会は即日解散となった。新議会は12月23日に発足する。首相信任投票の日程は未定だが、年明け以降となる見通しだ。
解散のきっかけは、住宅対策を巡る採決での敗北だ。政府は夏ごろから立ち退き抑制などを盛り込む緊急政令を準備していたが、9月23日にマドリードで87歳女性が立ち退きを強いられ、国内各地で抗議運動が拡大したことを受け、調整を加速。しかし、9月末に閣議決定した政令は、10月2日に最大野党の民衆党(PP、中道右派)、極右ボクス、独立派カタルーニャ連合(Junts、中道右派)などの反対で下院の承認を得られず、少数与党の議会運営の行き詰まりがあらためて浮き彫りとなる中、サンチェス首相は、政策遂行に必要な議会の支持基盤を強化すべく、国民に信を問うとして解散総選挙に踏み切った。
10月5日にエル・パイス紙などが公表した世論調査(9月25~28日実施)では、推計得票率はPSOE27.4%に対し、PP31.6%、ボクス18.4%。ボクスは前月比0.6ポイント上昇し、PPとの合計は50.0%となった。
一方、同じ世論調査の住宅問題の調査では、家主の収益が下がっても住宅価格抑制への公的介入を67.5%以上が賛同し、82.4%が社会住宅の供給拡大を支持した。汚職裁判やセウタへの移民流入問題をめぐり守勢に立っていたサンチェス政権だが、住宅問題への社会的不満が可視化され、住宅政策を主要争点にできる環境が生まれた中で左派再動員を試みる。
解散に伴い、産業政策の基本法を改正する産業・戦略的自律法案や、国家エネルギー委員会の再設置法案など、議会で審議中だった企業関連法案の審議は失効し、新議会で再提出が必要となった。2027年も2023年度予算を延長して始まる見通しで、延長は4年連続となる。10月7日付シンコ・ディアス紙は、容量市場やコージェネレーション入札、データセンター規制、送電網整備計画の行方にも不透明感が生じていると分析した。今後、企業関連制度や産業・エネルギー政策の実施時期が焦点となる。
住宅対策を求める抗議キャンプが続くマドリード中心部のソル広場(10月6日、ジェトロ撮影)
(伊藤裕規子)
(スペイン)





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